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一級建築士解説!現況測量図/地積測量図/確定測量図_3つの測量図について

設計者A
設計者A

土地の売買や有効活用を検討したいけど、

測量図がたくさんあって分からないです!

一級建築士:SUPERRE

実は測量図は3種類あるんだ

それぞれ利用する場面が違うから解説をしよう!

はじめに

不動産を扱う場面で必ず出てくるのが、土地の権利問題です。特に境界線の位置によっては、数千万円以上の金額を損しかねません。本記事では、3つの測量図(現況測量図/地積測量図/確定測量図)について解説を行います。測量図は権利を確定する上で、非常に重要となります。また設計上も重要な要素となりますので、測量図の特徴を理解し、土地とうまく付き合いましょう。

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第1章 測量図とは?

測量図は、専門家が行った測量結果を示した図面のことです。一般的に、測量は測量士が担当すると考えられがちですが、実は民間人が所有する土地に関する測量図は、国家資格である土地家屋調査士が作成します。

土地家屋調査士は、隣地との境界を調査・測量し、法務局へ登記する権限を持っています。

そして、土地家屋調査士が測量した結果を図示したものが測量図となります。

測量図には、基本的には面積や形状が示され、境界のポイント、辺の長さ、求積の方法などが記載されます。方位や縮尺なども明示されています。記載事項は各測量図で似通っていますが、作成目的や精度が異なる場合もあります。

測量図といっても、複数の種類がありそれぞれ何が異なるのかよく分からないという人も多いのではないでしょうか?次章から、測量図の種類について詳しく説明していきます。

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第2章 測量図の種類

測量図には3つの種類があります

その1 現況測量図

名前の通り、現況の状態を測量した図面です。現存する境界標やコンクリートブロック塀等、境界と思われる場所を測量し、図起こししたものです。接道する公道や周辺敷地の所有者との境界立会をせずに作成されます。測量オプションとして高低差や既存樹木を入れたり、自由測量に近いイメージです。

主な利用場面は、「①建築設計」や「②売買に向けた実測」が多いです。

「①建築設計」については、現況に即した正確な設計とする為、現況を正確に図面で理解することが主旨です。
「②売買に向けた実測」については、登記簿上の面積と実際の面積が異なる場合もある為、売買で損を被らないように実測するイメージです。

その2 地積測量図

「地積」とは、土地登記簿に記載されている土地面積を指します

地積については、明治初期の測量に基づいている場合があるため、正確でないケースが少なくありません。その為、土地売買時に土地登記簿に記載されている地積を信頼することは危険だとされています。地積測量図は、法務局に備え付けられている測量図で、登記された境界線を示します

出典:盛岡地方法務局 土地・建物の地図・図面などを加工

記載内容は以下項目が挙げられます。

1  求積表
2  面積集計
3  測量年月日
4  作成者
5  申請人
6  縮尺
7  境界標凡例
8  地番図
9  方位
10 地番と土地の所在

上記記載項目は、不動産登記規則第77条で規定されています。

(地積測量図の内容)
第七十七条 地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 地番区域の名称
二 方位
三 縮尺
四 地番(隣接地の地番を含む。)
五 地積及びその求積方法
六 筆界点間の距離
七 国土調査法施行令第二条第一項第一号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
八 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
九 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう。以下同じ。)があるときは、当該境界標の表示
十 測量の年月日

平成十七年法務省令第十八号 不動産登記規則
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<番外編>地積測量図の変遷

実は地積測量図は、作成年月日によって精度が大きく異なります。大まかに言うと、新しいほど測量精度が高く、信用度は向上します。下記は時代の変遷とともに地積測量図のあり方を表にまとめました。

制作年月日(和暦)制作年月日(西暦)特性精度
昭和35年以前〜1960年3月現存することが珍しい
昭和35年4月〜昭和41年3月1960年4月〜1966年3月尺貫法
昭和41年4月〜昭和52年9月1966年4月〜1977年9月メートル法
昭和52年10月〜平成5年9月1977年10月〜1993年9月測量の電子化進行、境界標表記義務化
平成5年10月〜平成17年3月6日1993年10月〜2005年3月電子測量が主流、立ち会いの厳格化低〜中
平成17年3月7日以降2005年3月7日以降世界測地系座標値の適用した公共標準点を使用、隣地所有者立ち会いを義務化
地積測量図の時代変遷

注意:特性と精度は一般的な特徴に基づいており、実際の測量図の内容によって異なる場合もあります。

地積測量図が法務局に備え付けられていないけど、、

地積測量図として法務局に備え付けるには、確定測量+登記申請が必要となります。境界確定済だが登記申請をしていないなど、地積測量図が法務局に備え付けられていない場合もあります

その3 確定測量図

確定測量とは、隣接する土地との境界を確認するために隣接所有者と立ち会いを行う測量のことです。

この測量により作成される図面を「確定測量図」または「確定実測図」と呼びます図面名に「確定」という文字が含まれているものが確定測量図です。土地の境界には民々境界(隣地との境界)と官民境界(道路との境界)の2種類があります。

確定測量図は、全ての境界が確定している図面です。つまり、民々境界も官民境界も確定している状態です。確定測量図があることは、境界に関する争いがないことを意味します。そのため、確定測量図は単に測量した実測図とは異なります。

不動産の購入者にとって、境界に争いがないことは重要なポイントです。したがって、不動産の売買では買い手が確定測量図を売り手から受け取ることを条件としていることがよくあります

ちょっと待って!あなたの測量図は大丈夫?

うちの土地の敷地境界線は測量済なので大丈夫!と自信を持っているそこのあなた。

それは確定測量図でなければ正式な境界になりません。測量を行い、境界同意書を隣地所有者と締結し、確定測量図とすることで初めて境界線に関してクリアとなります。一般の方は、測量図の区別が難しいので、「確定」がついているか。特に注意してみて下さい。

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まとめ

測量図の種類取得難易度境界確定取得方法取得費用取得時間不動産取引における面積の信用度使用場面
現況測量図×測量会社20万円程度2週間程度×建築設計の際(確認申請は現況敷地面積)
地積測量図×法務局
郵送
WEB
362~円1時間程度土地活用の試算時、簡易面積
確定測量図(確定実測図)×測量会社50万円程度3ヶ月程度不動産取引の際
測量図毎の特徴分析 ※敷地の特殊性(形状、面積、特殊事情など)により異なる場合がございます。参考程度に参照下さい。

注意: 「取得難易度」として、○は手軽、△は手間あり、×は難しいを示しています。また、「不動産取引における面積の信用度」として、○は高い信用度、△は一部信用度あり、×は信用度なしを示しています。

不動産を検討する上で、測量図の理解は必須となります。土地権利の整理がついていないとベストな売買ができないことが多く、やむを得ない金銭的な解決も往々にして発生します。測量図の正しい理解は、資産形成の第一歩に繋がります。

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