114条区画って?ほにゃ?
『防火上主要な間仕切壁』のことだね!解説しよう!
はじめに
建築基準法第114条に定められている「防火上主要な間仕切壁」は、建築物における防火対策の一環として非常に重要です。特に教育施設や宿泊施設など、多くの人が集まる建物では、火災時に安全な避難動線を確保するために、これらの間仕切壁が求められます。
本記事では、114条区画とは何か、どのような建物や用途に適用されるのか、そして設計時に気を付けるべきポイントについて解説していきます。
スポンサーリンク第1章 『防火上主要な間仕切壁』って?
『防火上主要な間仕切壁』とは、「火災が生じた際の避難動線確保」及び「急激な火災の拡大を抑える」為の間仕切壁を指します。
※建築基準法では、用途が限定されており教育関連施設や宿泊施設などの建築物で発生する概念です。
なんで114条区画っていうの?
それは該当条文が「建築基準法施行令第114条」だからです!
法文には『114条区画』という表記はないから、’’通称’’です。
建築基準法施行令第114条を一部抜粋!
スポンサーリンク(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
第百十四条
中略
2 学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第百十二条第四項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)より抜粋
第2章 『防火上主要な間仕切壁』の対象用途って?
<防火上主要な間仕切り壁の対象用途>
学校・病院・診療所(患者の収容があるものに限る)・児童福祉施設等・ホテル・旅館・下宿・寄宿舎・マーケットです。
宿泊・教育・ヘルスケアに関わる施設や不特定多数の利用が見込まれる施設が多いんだね!
当然用途が異なれば、区画要求も異なるよ!
以下は、用途毎に要求をまとめたよ!
用途毎の区画要求について
宿泊施設(ホテル/旅館/寄宿舎/下宿)・診療所・病院・児童福祉施設等
<114条区画の要求>
・『3室以下』かつ『100㎡以内毎(100㎡を超える室はこの限りではない。)』に区画する間仕切壁
・『病室/就寝室/保育室等』と『避難経路』を区画する間仕切壁
『児童福祉施設等』って具体的には、
児童福祉施設・助産所・保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保健施設・障害者支援施設・地域活動支援センター・福祉ホームなどが該当するよ!
学校
<114条区画の要求>
・『教室間』の間仕切壁
・『教室』と『避難経路』の間仕切壁
※但し教室と廊下が不燃材料で造られたパーティション等(建具を含む。)で区画されているものはこの部分も開口部として取り扱うことができる。
キッチン・厨房などコンロを設置する室
<114条区画の要求>
・『火気使用室』と『その他の諸室』の間仕切壁
マーケット
<114条区画の要求>
・『店舗間』の間仕切壁のうち、重要なもの。
第3章 防火上主要な間仕切壁の仕様は?
<要求される構造及び仕様について>
・『準耐火構造』又は『耐火構造』とすること
・『小屋裏』または『天井裏』まで達すること
建築物の構造種別 | 間仕切壁の種別 |
---|---|
耐火 | 耐火(耐力壁の時間は位置により、非耐力壁は1時間とする) |
準耐火イー1(法第27条但し書き) | 準耐火(1時間) |
準耐火イ−2 | 準耐火(45分) |
準耐火ロ−1(外壁耐火) | 準耐火(45分) |
準耐火ロ−2(主要構造部不燃) | 準耐火(45分・材料準不燃) |
実際のケースで言うと、こんな感じ!
用途:ホテル
防火仕様:耐火建築物
構造:耐火構造(114条区画含)
※防火上主要な間仕切壁は、主要構造部です。
見積時に要注意!!!
114条区画が必要な建物の見積金額には要注意だよ!
『妥当な耐火性能で見積金額に反映されているか?』確認しよう!
第4章 114条区画の開口部の防火性能について
Q. 防火上主要な間仕切壁に開口部を設ける場合、防火設備の要求はありますか?
A.結論不要です。開口部には制限がありません。防火区画とは異なります。
って言うことは、、、、
『学校』の場合、不燃材料等で造られたパーティション等を応用すれば、オープンスクールのような開放的な教室空間が作れるってことだね!
第5章 防火上主要な間仕切壁の『免除』について
免除方法は大きく分けて二つあります!順番に解説をしていきます。
①小規模な建築物で避難が容易な建築物
下記条件を満たす場合、適用除外とすることができます。
『A:小規模な建築物』かつ『B:報知設備設置』かつ『C:①又は②』
※下記図解は、国土交通省より発行された緩和条件を満たすイメージです。
『A:小規模な建築物』とは?
『居室の床面積の合計が100㎡以下の階』又は、『居室の床面積の合計100㎡以内毎に準耐火構造の壁等で区画した部分』を指します。
『B:報知設備設置』とは?
各居室に『煙感知式の住宅用防災報知設備』若しくは『自動火災報知設備』又は『連動型住宅用防災警報器』が設けられている状態を指します。
『C:①又は②』とは?
①「直接屋外等へ避難するパターン」
各居室から直接屋外、避難上有効なバルコニー又は100㎡以内毎の他の区画(屋外及び避難上有効なバルコニーは、幅員50cm以上の通路その他の空地に面するものに限る。以下「屋外等」という。)に避難ができるものであること。
②「避難経路が短いパターン」
各居室の出口から屋外等に、歩行距離8m(各居室と通路の内装を不燃化した場合は16m)以内で避難でき、かつ、各居室と避難経路とが間仕切壁及び常時閉鎖式の戸(ふすま、障子等を除く。)等で区画されているものであること。
上記緩和規定は、『○間仕切壁を準耐火構造としないこと等に関して防火上支障がない部分を定める件(平成二十六年八月二十二日)(国土交通省告示第八百六十号)』に原文がございます。
『避難上有効なバルコニー』については、『防火避難規定の解説』で、詳細な解説がされています。
まだお持ちでない方は、必ず1冊購入されることを推奨します。設計者必携本です。
② スプリンクラー設備の設置部分
以下のいずれかに該当する場合は、間仕切壁の防火対策を適用除外とすることができます。
・床面積200㎡以下の階に、スプリンクラー設備を設けた場合
・床面積200㎡以内毎に準耐火構造の壁等で区画した部分に、スプリンクラー設備を設けた場合
第6章 防火上主要な間仕切壁の『緩和』について
防火上主要な間仕切壁は、通常『小屋裏または天井裏まで達せしめなければならない』です。しかし、天井裏まで張ることを緩和する条文があります。それはズバリ『強化天井』です。
<防火上主要な間仕切壁の代替措置となる強化天井>
○ 強化天井で延焼を防止できる構造(天井裏延焼防止構造)とした場合、間仕切壁を小屋裏又は天井裏まで
達せしめなくてもよいものとする。
○ 部分的に強化天井とする場合は、準耐火構造+防火設備による区画が必要。
○ 告示仕様の強化天井は、強化石膏ボード2枚張り以上(総厚36mm以上)。
引用:国土交通省寄宿舎に係る基準の合理化(建築基準法)より
強化天井の構造は、告示で出ています↓
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第二項第一号の規定に基づき、強化天井の構造方法を次のように定める。
強化天井の構造方法を定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第百十二条第二項第一号に規定する強化天井の構造方法は、次に掲げる基準に適合するものとする。
一 強化せっこうボード(ボード用原紙を除いた部分のせっこうの含有率を九十五パー
セント以上、ガラス繊維の含有率を〇・四パーセント以上とし、かつ、ひる石の含有率を二・五パーセント以上としたものに限る。)を二枚以上張ったもので、その厚さの合計が三十六ミリメートル以上のものが設けられていること。
二 給水管、配電管その他の管が強化天井を貫通する場合においては、当該管と強化天井との隙間をロックウールその他の不燃材料で埋めるとともに、当該管の構造を令第百二十九条の二の五第一項第七号イからハまでのいずれかに適合するものとすること。この場合において、同号ハ中「二十分間(第百十二条第一項から第四項まで、同条第五項(同条第六項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第七項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)、同条第八項(同条第六項の規定により床面積の合計二百平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第七項の規定により床面積の合計五百平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)若しくは同条第十三項の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は第百十三条第一項の防火壁にあつては一時間、第百十四条第一項の界壁、同条第二項の間仕切壁又は同条第三項若しくは第四項の隔壁にあつては四十五分間)」とあるのは、「一時間」と読み替えるものとする。
三 換気、暖房又は冷房の設備の風道が強化天井を貫通する場合においては、当該風道の強化天井を貫通する部分又はこれに近接する部分に令第百十二条第十六項に規定する構造の特定防火設備を設けていること。
四 防火被覆の取合いの部分、目地の部分その他これらに類する部分が、当該部分の裏面に当て木が設けられている等天井裏への炎の侵入を有効に防止することができる構造であること。
附 則 この告示は、平成二十八年六月一日から施行する。
緩和規定の原文は、建築基準法施行令にあります↓
スポンサーリンク(防火区画)第百十二条
中略
4 法第二十一条第一項若しくは第二項(これらの規定を同条第三項の規定によりみなして適用する場合を含む。次項において同じ。)若しくは法第二十七条第一項(同条第四項の規定によりみなして適用する場合を含む。以下この項及び次項において同じ。)の規定により第百九条の五第一号に掲げる基準に適合する建築物(通常火災終了時間が一時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第二十七条第一項の規定により第百十条第一号に掲げる基準に適合する特殊建築物(特定避難時間が一時間以上であるものを除く。)とした建築物、法第二十七条第三項(同条第四項の規定によりみなして適用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により準耐火建築物(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準(第二項に規定する一時間準耐火基準をいう。以下同じ。)に適合するものを除く。)とした建築物、法第六十一条第一項(同条第二項の規定によりみなして適用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により第百三十六条の二第二号に定める基準に適合する建築物(準防火地域内にあるものに限り、第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物又は法第六十七条第一項の規定により準耐火建築物等(第百九条の三第二号に掲げる基準又は一時間準耐火基準に適合するものを除く。)とした建築物で、延べ面積が五百平方メートルを超えるものについては、第一項の規定にかかわらず、床面積の合計五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画し、かつ、防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分(床面積が二百平方メートル以下の階又は床面積二百平方メートル以内ごとに準耐火構造の壁若しくは法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けたものをいう。第百十四条第一項及び第二項において同じ。)その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、次の各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
一 天井の全部が強化天井(天井のうち、その下方からの通常の火災時の加熱に対してその上方への延焼を有効に防止することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。次号及び第百十四条第三項において同じ。)である階
二 準耐火構造の壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、当該部分の天井が強化天井であるもの
おわりに
114条区画(某過剰主要な間仕切壁)に関する知識は、防火対策を万全にするために設計者が知っておくべき重要な内容です。建築基準法の規定を理解し、適切に設計に反映することで、火災時のリスクを最小限に抑えることが可能です。また、規定は難解な部分も多いため、専門書や法令集を参照しながら、最新の情報に基づいて計画を進めることが重要です。設計においては、このような細かい規定を理解し、的確に対応することが求められます。
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