鉄骨造の部材ってよく見ると、
一つ一つ特徴があって、人間の骨みたいだ!
骨と同様に、部材には全部名前があるんだ!
一般的な名前と現場での留意点を解説するよ!
はじめに
鉄骨造の建物を支える各部材は、まるでパズルのピースのように絶妙に噛み合っています。これらのピースにはそれぞれ名称があり、それを理解することで設計や施工の見え方が大きく変わります。本記事では、鉄骨造の継手プレートに関する重要な13種類の部材について、名称と役割、さらに現場での留意点を詳しく解説します。一級建築士の視点から、試験対策にも役立つ知識を分かりやすく紹介していきます。
スポンサーリンク鉄骨造の部材名称について
① 柱(角形鋼管)
一般的に『コラム』と呼ばれる既製品の角形鋼管を『柱』として使用されることが多いです。しかし、建物によっては『ボックス柱』と呼ばれる4つの鋼板を溶接して作るオーダーメイドの柱を使用します。
② 通しダイアフラム
梁に生じる応力を構造体(柱や他の梁など)に伝達することや、仕口の変形を抑制する為に柱の仕口に設置する鋼板を指します。柱を一部切断して2枚のダイアフラムで挟む一般的な形式です。
③ 内ダイアフラム
柱内部にダイアフラムを溶接する形式です。異なる梁せいを設置する場合に用いられることが多いです。
④ パネルゾーン
柱と梁の製作部を指します。
スポンサーリンク⑤ エンドタブ
端部まで確実な溶接を行う為に、溶接部の両端に設置する鋼片です。セラミック製もあります。エンドタブを使わない場合、溶接の始点と終点で溶接の不具合が生じることが多いです。鋼製タブは、溶接が完了した後に原則切断を行うのですが、切断の際に誤って母材を損傷させてしまわないよう、溶接面の一部を残して切断をしなくてはいけません。
⑥ H型鋼<フランジとウェブ>
フランジは、水平方向の板です。引っ張り・圧縮・曲げに対して抵抗する役割を持ちます。ウェブは、垂直方向の板です。フランジ同士に曲げの力を伝達し、剪断力を受けます。
スポンサーリンク⑦ ブラケット
工場で柱に溶接して設置する短い梁を指します。(青部分です。)ブラケットを採用する場合、既に先付けされたブラケットと梁を建設現場に持ち込み、ハイテンションボルトで接合します。先付けをすると部材として大きいサイズになる為、輸送に手間がかかりますが現場溶接が不要になるのがメリットです。
上記は、ブラケット形式です。あらかじめ『ブラケット+柱』の状態を作ってから現場に輸送されます。
上記は、ノンブラケット形式です。柱と梁を現場で溶接します。
⑧ ガセットプレート
大梁と小梁を接合する為のプレートです。
⑨ スプライスプレート
柱や梁同士を継ぐ為のプレートです。母材を挟み込んで使用します。一般的にはハイテンションボルトの接合部に利用されます。
スポンサーリンク⑩ 裏当て金
完全溶込溶接の際に、母材同士を確実に固定する為に使用する部材です。
11 スカラップ
梁のウェブ跨ぎで裏当て金を設置可能にする為に必要な欠込み(35R)です。溶接が一筋でできるようにもなります。しかし、この欠込みが弱点になることがあります。その為、改良スカラップやノンスカラップ工法が現在の主流です。改良スカラップは、35R+10Rを指します。
12 スチフナー
座屈防止を目的として、H形鋼の中間位置に入れる鉄板を指します。
スポンサーリンクおわりに
鉄骨造の継手プレートは、建物の強度や安全性に大きく関わる重要な要素です。それぞれの部材の名称や役割を正確に理解し、現場での施工に適切に活用することが求められます。本記事を通じて、皆さんがこれらの部材に対する理解を深め、試験勉強や現場での業務に役立てていただければ幸いです。