PMP®(Project Management Professional)は、米国PMI®(Project Management Institute)が認定する、世界的に認知されたプロジェクトマネジメントの資格です。1984年に創設されて以来、幅広い業界で「プロジェクトの成功を導ける人材」の証として評価されてきました。
実際に、グローバルではPMP資格の保有がプロジェクト受注の条件となることもあり、日本でも建設・IT・製造など、さまざまな業界でその価値が高まっています。このPMP試験では、プロジェクトマネジメントに関する専門用語の理解が非常に重要です。単なる暗記ではなく、「なぜその用語が必要なのか」「どう業務に活かせるのか」を知ることが、合格への近道であり、実務力の向上にもつながります。
本記事では、PMP試験に頻出する用語を、わかりやすく整理してご紹介しています。用語の意味を正確に把握することで、試験対策だけでなく、日々のPM業務にも大いに役立てていただけるはずです。ぜひ辞書のように活用しながら、理解を深めていきましょう。
0-9
A
- Activity List アクティビティ・リスト
- プロジェクトで実施されるすべての作業を記したリスト。
- Activity アクティビティ
- プロジェクトで実施される作業のこと。タスクとも呼ばれる。
- Actual Cost:AC 実コスト
- 開始から任意の時点までに実際発生したコストの累積額。
- ADM:Arrow Diagramming Method アロー・ダイアグラム法
- アクティビティをアロー(矢線)で表現するネットワークの表現方法。AOAとも呼ばれる。プレシデンス・ダイアグラム法も参照。
- Analogous Estimating 類推見積り
- 過去に類似したプロジェクトのデータをもとに、コストや期間を概算する方法。トップダウン方式とも呼ばれる。
- Assumptions Analysis 前提条件分析
- 設定された前提条件が崩れた場合にプロジェクトへ与える影響を評価・分析する手法。
- Assumptions 前提条件
- 十分な証拠がないものの、正しいと仮定してプロジェクト計画を立てる際の前提事項。
B
- Bar Chart バー・チャート
- 作業の開始日と終了日を棒状で視覚的に表現するスケジュール図。ガント・チャートとも呼ばれる。
- Baseline ベースライン
- 承認されたスケジュール・コスト・スコープの基準。進捗や成果を評価する際の比較対象。
- Bottom-up Estimation ボトムアップ見積り
- 個々のアクティビティのコストや所要時間を見積もり、それらを積み上げて全体の見積りを算出する方法。
- Brainstorming ブレーンストーミング
- 批判を避け、自由な発想でアイデアを出し合うことにより、創造的な案を得る方法。
- Budget at Completion:BAC 完成時総予算
- プロジェクトに割り当てられたすべての予算を合計した総額。
- Budget 予算
- プロジェクトやアクティビティに対して承認されたコスト見積もりの総額。
C
- Change Control System 変更管理システム
- 変更の承認、記録、管理の方法を定めた文書化された手順やルールの体系。
- Chart of Accounts:勘定科目表
- プロジェクト費用を「労務費」「材料費」などの分類で集計するための一覧表。通常、企業が既に定めている勘定体系をベースに作成される。
- Co-location コロケーション
- プロジェクトチームを物理的に近接させることで、情報共有や作業効率を高める配置手法。いわゆる「同一拠点化」。
- Constraint 制約条件
- プロジェクトの実行やパフォーマンスに影響を及ぼす要素。主に時間、コスト、資源の制限が含まれる。
- Contingency Reserve コンティンジェンシー予備
- あらかじめ特定されたリスクに対応するために設定される予備のコスト。想定リスクの発生時に備えた備え。
- Control Chart 管理図
- プロセスの結果を時間の流れに沿って記録し、工程が安定しているかを確認する手法。管理限界を超えた場合、工程が統制外とみなされる。
- Cost Performance Index:CPI コスト効率指数
- プロジェクトにおけるコストの効率性を示す指標。CPI = EV ÷ AC によって求められる。
- Cost Variance:CV コスト差異
- 予算と実際の支出の差を示す指標。CV = EV − AC により算出される。
- Cost コスト
- プロジェクトの作業や構成要素を実施・生産するために必要な資源や金額。通常は貨幣で表される。
- Crashing クラッシング
- スケジュール短縮の必要がある作業に対し、追加のリソース投入や、より高コストでも効率の良い手段を用いて期間を短縮する技法。
- Critical Activity クリティカル・アクティビティ
- クリティカル・パス上に位置し、遅延がプロジェクト全体の遅れに直結する重要な作業。
- Critical Path Method:CPM クリティカル・パス法
- ネットワーク図を使って、最短の完了期間とスケジュール上の余裕(フロート)を明らかにする手法。
- Critical Path クリティカル・パス
- 最も長く時間を要する作業経路。ここにあるアクティビティのフロートは通常ゼロまたは負の値になる。
- Customer 顧客
- プロジェクトが提供する成果物やサービスを使用する人物、または組織。
D
- Decision Tree Analysis デシジョン・ツリー分析
- 意思決定のプロセスを分岐図として表したもの。各選択肢の期待値を、リスク確率・コスト・利益などの要素を組み合わせて算出する。
- Decomposition 要素分解
- 大きなスコープや成果物を、小さく管理しやすい単位へと分割すること。
- Deliverable 成果物
- プロジェクト完了にあたって提供すべき、検証可能な製品、成果、またはサービス。
- Delphi Technique デルファイ法
- 専門家の意見を収集・集約していく方法。複数回にわたるアンケートの実施とフィードバックを通じて、合意形成を図る。
- Duration:DU or :DUR 所要期間
- アクティビティを完了させるために必要な日数または時間。
E
- Estimate at Completion:EAC 完成時総コスト見積り
- プロジェクト完了時点における予測される総コスト。一般に「EAC = AC + ETC」の式で計算される。
- Estimate to Complete:ETC 残作業のコスト見積り
- プロジェクト完了までに必要と見積もられる現時点からの残りのコスト。
- EV:Earned Value アーンド・バリュー
- 達成された作業の価値のこと。貨幣単位で表されることが多い。例:EV = \100,000(作業は10万円分できている)
- EVM:Earned Value Management アーンド・バリュー・マネジメント
- 計画価値(PV)、実コスト(AC)、アーンド・バリュー(EV)の3指標を用いて、コストと進捗状況を共通の尺度(例:金額)で統合的に管理する手法。
F
- Fast Tracking ファスト・トラッキング
- 通常は順番に行う作業やフェーズを同時並行で進めることで、スケジュールを短縮する手法。
- Float フロート
- プロジェクト全体の終了に影響を与えずにアクティビティの開始・終了を遅らせることができる余裕時間。スラックとも呼ばれる。
- Flowcharting フローチャート化
- プロセスや手順の流れを図で示すことにより、全体像や各ステップの関連性を明確にする手法。
- Free Float フリー・フロート
- 後続の作業に影響を与えずに遅延できる、アクティビティ固有の自由時間。
- Functional Organization 機能型組織
- 職能別に編成された、階層的な構造を持つ組織形態。従業員は通常、一人の直属上司に報告する形式を取る。
G
- Gantt Chart ガント・チャート
- 作業の開始日、終了日、所要期間を視覚的に示す図表。バーの長さで作業期間を表現する。ヘンリー・ガントにより考案された。
H
I
- Inspection 検査
- 作業成果物やサービスが、要求された基準を満たしているかどうかを確認するための測定・評価活動。
J
K
L
- Lag ラグ
- 後続のアクティビティを遅らせるために設定する時間的な遅れ期間。
- Lead リード
- 後続の作業を予定より早く始められるように、前の作業と一部重ねて実施する期間。
- Leadership Style リーダーシップスタイル
- リーダーがチームをまとめる方法のタイプ。指示型、独裁型、委任型など複数のスタイルがある。
- Leadership リーダーシップ
- 目標に向けてチームを導き、組織力と成果を高めるための統率力や影響力。
M
- Matrix Organization マトリックス型組織
- プロジェクト・マネジャーと機能部門マネジャーが共同で指揮をとる、役割共有型の組織形態。
- Milestone マイルストーン
- スケジュール上で重要な節目を示すイベント。通常、作業期間は伴わない。
- Monte Carlo Analysis モンテカルロ法
- 多様なリスクシナリオに基づく確率分布を用いて、プロジェクトの総コストや完了時期を多数回シミュレーションする手法。
N
- Near-Critical Activity 準クリティカル・アクティビティ
- トータルフロートが少ないアクティビティ。
O
- Organizational Breakdown Structure:OBS 組織ブレークダウン・ストラクチャー
- プロジェクト組織を階層構造で関連付けた図。ワークパッケージと実行部門の紐づけを行う。
P
- Parametric Estimating パラメトリック見積り
- 過去の実績と変数の関係性を用いてコストや所要時間を予測する手法。 例:坪単価 × 面積
- Pareto Diagram パレート図
- 原因の出現数の多い順に並べた棒グラフ。
- Plan Communications Management コミュニケーション・マネジメント計画
- 関係者に対して、どの情報を・いつ・誰に・どの手段で提供または収集するかを定めるプロセス。
- Planned Value 計画価値
- 承認された予算に基づき、計画された作業を進めることで得られる価値。プロジェクト進捗の基準として用いる。
- Portfolio Management ポートフォリオ・マネジメント
- 各ポートフォリオに対し優先順位を定め、全体の調整や資源配分を行うマネジメント活動。
- Portfolio ポートフォリオ
- 戦略的目標を達成するために、複数のプロジェクトやプログラムをまとめて最適に管理する集合体。
- Precedence Diagramming Method:PDM プレシデンス・ダイアグラム法
- アクティビティをノード(箱)で表現し、作業の前後関係を示すスケジュール作成法。AONとも呼ばれる。
- Probability and Impact Matrix 発生確率・影響度マトリックス
- リスクの発生可能性と影響度を掛け合わせてリスクの優先度を視覚的に分類する表。
- Product Life Cycle プロダクト・ライフサイクル
- 製品の構想、開発、提供、廃止までの全過程。
- Program プログラム
- 相互に関連する複数のプロジェクトを統合的に管理する枠組み。個別管理よりも高い効果を得ることを目的とする。
- Progressive Elaboration 段階的詳細化
- プロジェクトが進むにつれて、得られる情報が具体性を増し、それに伴い計画も継続的に詳細に仕上げられていくプロセス。
- Project Charter プロジェクト憲章
- プロジェクトの存在を公式に認可する文書。
- Project Life Cycle プロジェクト・ライフサイクル
- プロジェクトを通じての複数フェーズの集合体。
- Project Management Office PMO プロジェクトマネジメント・オフィス
- 組織内で複数のプロジェクトマネジメントを支援し、標準化・効率化を図る専任部門。
- Project Management Team プロジェクトマネジメント・チーム
- プロジェクトチームの中でも、マネジメント活動に直接従事するメンバー。
- Project Management:PM プロジェクトマネジメント
- プロジェクトの目標達成のために知識・スキル・ツール・技法を活用してアクティビティへ適用すること。
- Project Manager:PM プロジェクト・マネジャー
- プロジェクトの目標を達成する責任を持つ、母体組織から任命されたリーダー。
- Project Phase プロジェクト・フェーズ
- 主要な成果物の完成をもって終了する、一連の関連作業をまとめた段階。
- Project Team プロジェクト・チーム
- プロジェクトを遂行するために組織されたメンバーの集合。プロジェクト・マネジャーも含まれる。
- Project プロジェクト
- 独自の成果物やサービスを得るために、一時的に実行される業務。
- Projectized Organization プロジェクト型組織
- プロジェクトごとに編成され、プロジェクト・マネジャーが全権を持つ組織形態。
Q
- Qualitative Risk Analysis 定性的リスク分析
- リスクの発生可能性や影響度を評価し、それに基づいてリスク対応の優先順位を決定するプロセス。
- Quality 品質
- 対象が要求事項をどの程度満たしているかを示す尺度。
- Quantitative Risk Analysis 定量的リスク分析
- リスクの数値的影響を明らかにする手法で、各リスクの発生確率と、それがプロジェクト目標に及ぼす影響を定量的に分析する。
R
- Reserve 予備
- スケジュールやコストに関連するリスクを吸収するために、あらかじめ確保された余裕資源。
- Residual Risk 残存リスク
- リスク対応を講じた後でもなお残るリスク。
- Resource Leveling 資源平準化
- リソースの過剰な集中を避け、作業スケジュールや資源配分を調整して負荷を均等化する手法。
- Responsibility Assignment Matrix:RAM 責任分担マトリックス
- 作業内容と関係者(個人または部門)との関係を明示し、責任の所在を明確にする図表。
- Risk Acceptance リスク受容
- リスクの存在を認識しつつ、あえて対策を講じずそのまま受け入れる選択。
- Risk Avoidance リスク回避
- リスク自体を除去する、またはその影響を完全に避けるために計画を変更する行動。
- Risk Mitigation リスク軽減
- リスクの発生確率や影響を、受け入れ可能な水準まで下げるための対策。
- Risk Response Planning リスク対応計画
- 脅威の影響を最小限に抑え、機会を最大化するための対応策を計画するプロセス。
- Risk Transference リスク転嫁
- プロジェクトに与えるリスクを分析し、特性を文書化すること。
- Risk リスク
- 起きる可能性があり、発生した場合にプロジェクトの目標に良くも悪くも影響を及ぼす不確実な事象。
- Rolling Wave Planning ローリング・ウェーブ計画法
- 直近の作業は詳細に、将来の作業は大まかに計画し、進捗に応じて順次詳細化していく手法。
S
- Schedule Performance Index:SPI スケジュール効率指数
- スケジュールの効率性を表す指標で、SPI = EV ÷ PV により計算される。
- Schedule Variance:SV スケジュール差異
- 進捗の早さや遅れを示す指標で、SV = EV − PV によって算出される。
- Scope Creep スコープ・クリープ
- 正式な承認を得ずに、プロジェクトの作業範囲が次第に拡大していくこと。
- Scope スコープ
- プロジェクトで実施すべき作業と、その結果得られる成果物の範囲。
- Secondary Risks 二次リスク
- リスク対応を実施した結果として、新たに発生する可能性のあるリスク。
- Slack スラック
- アクティビティの開始や終了を遅らせてもプロジェクト全体に影響しない余裕時間(=フロート)。
- Sponsor スポンサー
- プロジェクトに対して資金、人材、設備などの資源を提供する責任者または組織。
- Stakeholder ステークホルダー
- プロジェクトの成果や実施過程によって影響を受ける全ての個人・団体。
- Statement of Work:SOW 作業範囲記述書
- プロジェクトにより提供される製品、成果、サービスの内容や範囲を文書化したもの。
- Subproject サブプロジェクト
- プロジェクト全体を、管理しやすい小規模な単位に分割したもの。外注や社内の別部門に委託されることもある。
T
- Task タスク
- 「作業」を意味する一般的な用語であり、その定義や役割は、適用される業界や分野によって異なる。
- Team Development チーム育成
- チーム全体のパフォーマンスを高めるために、各メンバーの能力や協働スキルを強化する取り組み。
- Three-Point Estimate 三点見積り
- アクティビティのコストや期間を、楽観・悲観・最頻の3つの予測値から導き出す見積手法。
- Total Float:TF トータル・フロート
- あるアクティビティの開始または完了を遅らせても、プロジェクト全体の完了日に影響を与えない範囲の余裕時間。
- Trigger トリガー
- リスクの発生を示唆する兆候や引き金。リスクが発現したか、発現寸前であることを示すサインとなる。
U
V
- Variance Analysis 差異分析
- 計画値と実績値を比較し、差異の原因や傾向を分析する方法。
W
- War Room 作戦室
- 計画立案や会議を行うために設けられる専用のスペース。メンバーが集まり、一時的なコロケーションの場としても機能する。
- WBS Dictionary WBS辞書
- WBSの各要素についての説明を記した文書。担当者、開始日、予算など詳細情報を含む。
- WBSコード Code of Accounts
- WBSにおける各構成要素を識別するために付与されるコード番号。例:1.2.1
- Work Authorization System 作業認可システム
- 各作業を適切なタイミングと順序で遂行できるように、正式に作業実行を認可する手続き。
- Work Breakdown Structure ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー
- プロジェクト全体のスコープを階層的に分解した構成図で、作業を細分化して可視化する手法。下位はワーク・パッケージまで要素分解。
- Work Package ワーク・パッケージ
- WBSにおける最下層の作業単位。
- Workaround 迂回策
- 想定外のリスクが顕在化した際に策定される対応策
X
Y
Z