
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上の吹付工事の留意点」について教えて下さい!

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地での吹付工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

冬季の吹き付け工事は、低温・凍害・雪害などによって品質不良が起こりやすい時期です。特に、気温の低下や下地の乾燥不足が原因で、仕上がりや付着力の低下、さらには剥離や変色などのトラブルが発生することがあります。
本記事では、吹付工事における冬季特有のリスクと、その具体的な対策方法をカテゴリーごとに整理します。

第1章 施工条件|低温障害を防ぐための基本対応

主な原因:低温障害
冬季における吹き付け工事では、外気温が仕上がりに大きく影響します。気温が2℃以下、または施工後に0℃以下になる恐れがある場合は、工事を中止するのが原則です。やむを得ず工事を行う際は、保温養生や採暖を行い、施工面や材料の温度を確保する必要があります。
また、夜間や風の強い日は放射冷却によって施工面温度が気温よりも低下することがあります。このため、ブルーシートや仮囲いによる養生を徹底し、作業環境を安定させることが重要です。
スポンサーリンク第2章 下地の乾燥|施工前の含水率チェックが鍵

主な原因:低温障害
下地が十分に乾燥していないと、吹き付け材が密着せず、剥離や膨れの原因になります。冬季施工では、コンクリートは28日以上、モルタルは21日以上の乾燥期間を確保します。乾燥が遅い場合は、工事の数日前から採暖して湿気を取り除くことが推奨されます。
また、下地表面の含水率は10%以下が目安です。鉄部は特に水分が吸着しやすいため、採暖して十分に乾燥させることが必要です。低温時は下地表面が冷えていることも多く、5℃程度まで暖めてから乾燥状態を確認するとより確実です。
スポンサーリンク第3章 材料・その他|凍結・白華を防ぐための管理ポイント

主な原因:雪害・凍害・低温障害
材料は温度管理を誤ると変質や不良の原因になります。使用前に、使用期間や使用温度の条件が現場環境と合致しているかを確認しましょう。凍結による変質を防ぐため、材料保管場所は5℃以上を保つことが基本です。
また、低温時には吹き付け不良を防ぐため、コンプレッサーの吸気温度を上げるなどして材料を適切な状態に保ちます。さらに、冬季は白華(エフロレッセンス)が発生しやすいため、リシン・スタッコなどのセメント系吹き付け材の使用は避けることが望ましいです。
加えて、擬石吹き付けタイルや吹き付けタイルなどは、雪や低温の影響を受けやすいため、硬化時の凍結を防ぐ養生を確実に行う必要があります。
スポンサーリンクおわりに

冬季の吹き付け工事では、温度・湿度・乾燥という3つの要素が品質を左右します。「少しの低温だから大丈夫」といった判断が、後々の剥離・変色・ひび割れといった不具合につながるケースも少なくありません。現場では、気象条件を正確に把握し、保温養生や採暖などの対策を徹底することが、長期的な品質確保につながります。
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積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。

