【竪穴区画】昇降路の壁等を有しないエレベーターの竪穴区画の取扱いについて|防火避難規定の解説

建築知識
この記事は約10分で読めます。
見習い女の子
見習い女の子

昇降路の壁等を有しないエレベーターの竪穴区画の取扱いを教えて下さい!

建築戦士スー
建築戦士スー

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!

はじめに

区画の番人が現れた!
区画の番人が現れた!

建築基準法における「竪穴区画」の規定は、防火および避難の観点から極めて重要な項目であり、設計者にとって正確な理解が求められます。特に、昇降路の壁等を有しないエレベーターを設置する際には、竪穴区画の適用範囲や区画の必要性について、判断に迷う場面が少なくありません。
本記事では、『建築物の防火避難規定の解説』に基づき、告示や法令だけでは読み取ることが難しい「昇降路の壁等を有しないエレベーター」の竪穴区画の取扱いについて、具体的な事例とともに整理・解説いたします。

記事のレベル
記事のレベル
スポンサーリンク

第1章 昇降路の壁等を有しないエレベーターの竪穴区画の取扱い

ボスの間に通じる昇降機の入り口
ボスの間に通じる昇降機の入り口

昇降路の壁等の全部または一部を有しないエレベーターを、竪穴区画が必要な建築物に設置する場合については、以下のように取り扱います。

1の吹抜け内のみに存する昇降機の場合

1の吹抜け内のみに存する昇降機のイメージ
1の吹抜け内のみに存する昇降機のイメージ

1つの吹抜きの内部のみに設置されるこのような形式のエレベーターについては、昇降路としての形状が存在しないため、竪穴区画は不要とされます。

スポンサーリンク

1の吹抜け内以外の出入口を有する昇降機の場合

1の吹抜け内以外の出入口を有する昇降機のイメージ
1の吹抜け内以外の出入口を有する昇降機のイメージ

平成12年建告第1413号において、昇降路の壁等を有しない部分の構造は、「吹抜きに面する部分」または「建築物の外に面する部分」と定められています。
したがって、吹抜き以外の部分にも昇降路がある場合には、その部分については竪穴区画を行う必要があります。また、吹抜きと昇降路が接する場合には、相互に区画する必要があるため、吹抜きに面した昇降路の部分も区画が必要となります。

引用:平成12年建告第1413号より
引用:平成12年建告第1413号より
スポンサーリンク

建築物の内外に存する昇降機の場合

建築物の内外に存する昇降機のイメージ
建築物の内外に存する昇降機のイメージ

上図のようにエレベーターを建築物の外部に面して設置する場合でも、建築物内部に面する部分については竪穴区画が必要です。

さらに、この場合、外部の区画されていない部分から建築物内部の昇降路に通じる開口部が、延焼のおそれのある部分にあるときは、この取扱いを適用することはできません

スポンサーリンク

(防火区画)
第百十二条 法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ないものについては、この限りでない。

(中略)

11 主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するものの竪たて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第十三項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪たて穴部分については、この限りでない。
一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの
二 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分

引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)

スポンサーリンク

第2章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!

建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
残業ブラッキー
残業ブラッキー

建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、

本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

建築戦士スー
建築戦士スー

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。

つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。

設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!

スポンサーリンク

おわりに

区画の知識を手に入れた!
区画の知識を手に入れた!

昇降路の壁等を有しないエレベーターの竪穴区画については、単に法令条文を確認するだけでは十分な理解に至らない場合が多く、解釈の補助資料として『建築物の防火避難規定の解説』が極めて有用です。
本記事を通じて、設計実務上の判断材料や区画設計の基本的な考え方を理解いただけたのであれば幸いです。防火区画の正確な知識は、建築物の安全性確保とともに、設計者としての信頼にもつながります。引き続き、根拠ある設計を行うための一助となる情報を発信してまいります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
<※HOMEに推移します>設計者・デザイナーの方必見!他にも沢山記事がありますので、ぜひ見てください!
『建築知識全般』全記事の知識を獲得して「レベルアップ」しよう!
スポンサーリンク
育児休業の石垣島ライフを体験記にしました!
建築知識
お友達や同僚に教えてあげよう!
superreをフォローする
タイトルとURLをコピーしました