耐火構造の建築物を設計する際、車寄せなどに使う大きな庇を計画予定です。
庇を耐火被覆をする必要はありますか？
『建築物の防火避難規定の解説』を基に、わかりやすく解説しよう！
はじめに
耐火建築物における防火避難規定は、設計者にとって避けて通れない重要な知識です。特に車寄せや大きな庇などの計画時、「耐火被覆が必要なのか？」といった疑問が生じることも少なくありません。
本記事では、庇が主要構造部に該当するかや、防火上の観点で必要な対策についてわかりやすく解説します。規定のポイントを抑え、設計をスムーズに進めるための知識を深めましょう。
第１章 耐火建築物って？
『耐火建築物』とは、建築基準法に定められた以下の2つの条件を満たす建築物のことです。
条件１ 主要構造部が『耐火構造』or『一定以上の耐火性能を有する（耐火性能検証法等）』
条件２ 延焼のおそれのある部分に位置する開口部：防火設備（建築基準法2条九の二号ロ）とする
第２章 車寄せなどの大きな庇は、耐火被覆する必要あるの？
下記条件を全て満たす場合、耐火被覆不要となる。つまり、主要構造部の屋根としては扱われない。
＜条件＞
・火災発生のおそれの著しく少ない部分に設けられている（玄関前の車寄せなど）
・不燃材料で造られた大規模な庇
・外気に十分開放されている
・構造上重要なものでない
建築基準法第2条第五号では、構造上重要でない庇等は主要構造部からは除外されています。そもそも『主要構造部』とは、防火上の観点より定められています。つまり上記のような大規模な庇は、火災発生の恐れがなく外気に開放されている為、 防火上重要な部分に該当するとはいえません。その為、主要構造部には該当しないものとして取り扱うこととされています。
『主要構造部』とは？建築基準法で見てみよう。
スポンサーリンク（用語の定義）
第二条この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
＜中略＞
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。引用：建築基準法（昭和二十五年法律第二百一号）
第３章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう！
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね？
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です！少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ！
おわりに
防火避難規定の知識を活用することで、建築物の安全性を高めると同時に、合理的な設計が可能になります。庇の耐火被覆が必要かどうかの判断や、主要構造部との関係性を理解することで、設計の選択肢が広がります。実務に役立つ知識をしっかり身につけ、安心できる耐火建築物を提供できるようにしていきましょう。
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