
簡易な構造の建築物の取扱いについて教えて下さい!

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

近年、仮設的用途や一時的利用を目的とした施設の建築需要が高まる中で、「簡易な構造の建築物」に関する正しい理解は、設計者や確認審査関係者にとって極めて重要なテーマとなっています。これらの建築物は、通常の建築物と異なり、防火避難規定において一定の緩和措置が認められているため、基準の誤解や解釈の齟齬が生じやすい分野です。
本記事では、建築基準法施行令第136条の9および関連告示をもとに、「簡易な構造の建築物」がどのような定義と基準の下に扱われているのかを整理し、特に防火避難規定との関係性に着目して、実務上の注意点を丁寧に解説いたします。

第1章 簡易な構造の建築物について


建築基準法第136条の9に基づき、簡易な構造の建築物として指定されるものは、以下の両方の要件を満たす必要があります。
A シェルターの形態が開放的又は構成が軽微であり、かつ、 規模等が大きくないもの
B 屋外での活動と同程度の使われ方しかされないことが担保されるもの
第七章の九 簡易な構造の建築物に対する制限の緩和
(簡易な構造の建築物の指定)
第百三十六条の九 法第八十四条の二の規定により政令で指定する簡易な構造の建築物又は建築物の部分は、次に掲げるもの(建築物の部分にあつては、準耐火構造の壁(これらの壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造が国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限る。)又は第百二十六条の二第二項第一号に規定する防火設備で区画された部分に限る。)とする。
一 壁を有しない建築物その他の国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)であつて、次のイからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が一で床面積が三千平方メートル以内であるもの(次条において「開放的簡易建築物」という。)
イ 自動車車庫の用途に供するもの
ロ スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
ハ 不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
ニ 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
二 屋根及び外壁が帆布その他これに類する材料で造られている建築物又は建築物の部分(間仕切壁を有しないものに限る。)で、前号ロからニまでのいずれかに該当し、かつ、階数が一で床面積が三千平方メートル以内であるもの
これらの要件に該当する建築物、または建築物の一部(※建築物の一部である場合は、防火性能が損なわれないよう、他の部分と耐火構造等の壁または一定の防火設備で区画されているものに限ります。)として、政令で指定されているものは、以下のとおりです。
スポンサーリンク① 建築物またはその部分が、次のいずれかに該当すること
イ:開放的簡易建築物

a:高い開放性を有する(平成5年建設省告示第1427号)壁を有しない建築物であること
b:間仕切壁を有しないこと
c:階数が1階であること
d:床面積が3,000㎡以下であること
e:用途が以下のいずれかに該当すること
・自動車車庫
・スポーツ練習場等の運動施設
・火災の発生のおそれが少ない用途(不燃性の物品保管等)
・畜舎、堆肥舎、水産物の増殖場・養殖場
・屋根および外壁が帆布等で造られたもの
スポンサーリンク○建築基準法施行令第百三十六条の九第一号の規定に基づく高い開放性を有する構造の建築物又は建築物の部分
(平成五年六月二十二日)
(建設省告示第千四百二十七号)
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百三十六条の九第一号の規定 に基づき、高い開放性を有する構造の建築物又は建築物の部分を次のように定める。
一 壁を有しない建築物
二 次に掲げる基準に適合する建築物又は建築物の部分
イ 建築物又は建築物の部分の常時開放されている開口部の面積の合計が、その建築 物又は建築物の部分の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁 その他これらに類するものがある場合においては、その端。以下同じ。)で囲まれ た部分の水平投影面積の六分の一以上であること。
ロ 高さが二・一メートル(天井面又ははりの下端が床面から二・一メートル未満の 高さにある場合は、その高さ)以上の常時開放された開口部の幅の総和が外壁又は これに代わる柱の中心線の長さの合計の四分の一以上であること。
ハ 建築物又は建築物の部分の各部分から外壁の避難上有効な開口部に至る距離が二 十メートル以内であること。
附則
この告示は、平成五年六月二十五日から施行する。引用:建設省告示第千四百二十七号より
ロ:屋根および外壁が帆布等で造られた建築物

a:間仕切壁を有しないこと
b:階数が1階であること
c:床面積が3,000㎡以下であること
d:用途が以下のいずれかに該当すること
・スポーツ練習場等の運動施設
・火災の発生のおそれが少ない用途(不燃性の物品保管等)
・畜舎、堆肥舎、水産物の増殖場・養殖場
② 建築物の一部である場合には、次のいずれかの壁等で区画されていること

イ:準耐火構造または耐火構造の壁
※給水管等で壁を貫通する場合は、平成5年建設省告示第1426号に適合している必要があります
ロ:建築基準法施行令第126条の2第2項に規定されている防火設備であること
第三節 排煙設備
(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
(中略)
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
第2章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

本記事を通じて、読者の皆様が法令の趣旨を正しく理解し、設計・審査・確認等の業務において実務的な判断ができる一助となれば幸いです。今後も変化する法制度への対応力を高めるため、常に最新情報へのアップデートと実務経験の蓄積を心がけていくことが求められます。
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