
見習い女の子
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上の屋根工事の留意点」について教えて下さい!

建築戦士スー
地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地での屋根工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

屋根は建物の中でも最も厳しい気象条件にさらされる部位です。特に積雪や凍結が発生する地域では、金属板屋根の浮き・変形・すがもれ(氷による雨漏り)など、冬季特有のトラブルが起こりやすくなります。
本記事では、寒冷地での金属板葺き工事における注意点と対策を、現場での実践に即して解説します。

第1章 金属板葺き|雪害・凍害を防ぐための施工の基本

雪や氷による屋根の損傷や漏水は、施工時のひと工夫で大きく防ぐことができます。特に屋根材・下地の保護と、落雪による部材の破損対策が重要です。
対応策
- 屋根材・下地材の着雪・着氷を防止する。
施工時には屋根材や下地が雪や氷で覆われないよう、ブルーシートなどで養生します。既に着氷している場合は、温風やスチームでしっかり除去したうえで作業を行います。 - 金物の固定は落雪荷重に耐えられるように強固に。
勾配屋根では、雪の滑落時に金物が引き抜かれないよう、ビスやアンカーの固定位置を補強します。雪止め金具の配置も、屋根勾配や積雪量を考慮して設計することが大切です。 - 「すがもれ」や「つらら」防止のために納まりを工夫する。
軒先や谷部などで熱が伝わりやすい箇所は、断熱と通気を両立させた納まりにすることが重要です。屋根裏に熱がこもると融雪と凍結を繰り返し、「すがもれ(氷による雨漏り)」が発生するため、通気層を確保して熱を逃がします。
おわりに

金属板葺きの屋根は、耐久性と意匠性に優れる一方で、寒冷地では施工環境や納まりの工夫が品質を大きく左右します。特に凍結・落雪・すがもれといったトラブルは、設計段階からの計画と現場での細やかな配慮が欠かせません。屋根は“最後の防衛線”。冬季施工では「雪と氷に勝つ納まり」を意識して、安全で長持ちする屋根づくりを心がけましょう。
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積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。
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