
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上のシーリング工事の留意点」について教えて下さい!

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地でのシーリング工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

寒冷地や積雪地域では、外装仕上げの中でもシーリング工事が特に気候の影響を受けやすい工程です。凍結や結露、低温による硬化不良などが重なると、目地の剥離や漏水といった深刻なトラブルにつながります。
本記事では、寒冷期の現場で起こりやすい「凍害・低温障害」を中心に、施工条件・下地乾燥・材料選定の3つの視点から、具体的な対応策を整理しました。冬季にシーリング工事を予定している方は、ぜひ参考にしてください。

第1章 施工条件|低温・高湿度時の作業を避ける

寒冷地での施工では、気温と湿度の管理が最も重要です。結露や凍結がある状態で施工すると、シーリング材の密着が不十分となり、短期間で剥離やひび割れが発生します。
- 降雪時や湿度が85%以上のときは施工を中止する
- 施工面が完全に乾燥していることを確認する(結露防止が重要)
- 施工面温度が5℃以下の場合は、養生・採暖を行い、材料や器具を加温して環境を整える
特に早朝や夕方は、気温差による結露が起きやすいため、作業時間帯にも注意が必要です。
スポンサーリンク第2章 下地の乾燥|凍害を防ぐための徹底した事前準備

下地の乾燥不足は、寒冷地シーリング工事における最大のトラブル要因です。水分を含んだ状態で施工すると、凍結膨張によって密着不良を起こし、剥離や白化を引き起こします。
- 冬季のコンクリートは28日以上、モルタルは21日以上乾燥期間を確保する
- 含水率は10%以下を目安とし、測定器で確認する
- 鉄部は目視で乾燥していても吸着水が残るため、採暖して十分に乾燥させる
工事の数日前から採暖を行うことで、現場での作業効率を高めながら、安定した品質を確保できます。
スポンサーリンク第3章 材料選定と取扱い|低温に強いシーリング材を選ぶ

寒冷期に使用するシーリング材は、温度変化に強く、低温下でも硬化が進むタイプを選ぶことが基本です。
また、材料自体の取扱いにも細心の注意が必要です。
材料選定のポイント
- 使用温度・使用期間が現場条件に合致している材料を選定する
- 温度差に対する耐性が高く、低温でも硬化可能な製品を使用する
加温・保管のポイント
- シーリング材を加温する際の上限温度は25℃程度まで
- 加温時間の長短によって温度を調整する
- 直火による加熱は厳禁(材料劣化や火災の危険あり)
施工前に材料を常温に戻すことで、作業性や接着性が安定します。
スポンサーリンク第4章 仕上げの注意点|凍害を防ぐディテール設計

寒冷地では、仕上げ形状も凍害リスクに直結します。表面に凹凸や厚みがあると、凍結膨張の力が一点に集中し、シーリング材の剥離や破断を引き起こすおそれがあります。
- 凹凸や厚みのある仕上げを避け、平滑に仕上げる
- 特に屋外の目地や庇まわりは、凍結水の滞留を防ぐ形状とする
見た目の仕上げだけでなく、水の流れと温度変化の影響を意識した設計・監理が重要です。
スポンサーリンクおわりに

寒冷地でのシーリング工事は、「温度・湿度・乾燥」という3つの環境条件に左右されやすい難しい作業です。しかし、適切な材料選定と計画的な養生を行えば、厳しい環境下でも安定した品質を実現できます。特に、現場では「今日できるか」よりも「適した条件でできるか」を判断軸にすることが大切です。気温が低いからこそ、丁寧な準備と管理が成果を左右します。
スポンサーリンク寒冷地での計画に関してのおすすめ書籍

積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。