大規模店舗の各種階段について、床面積の取り扱いを教えてください!
1500㎡の定義や各種階段での取り扱いなど、分かりやすく解説しよう!
はじめに
大規模店舗の計画において、「避難階段」や「2直階段」の設置基準を正しく理解することは、安全性を確保するために欠かせません。特に床面積が1500㎡を超える店舗では、防火避難規定に基づいた適切な対応が求められます。
本記事では、建築基準法施行令に定められた規定をもとに、大規模店舗における階段の計画方法や注意点を詳しく解説します。
スポンサーリンク第1章 大規模店舗(1500㎡)の階段計画について
本記事で解説する『大規模店舗』は、建築基準法施行令第121条(二以上の直通階段を設ける場合)に記載のある定義を指します。
建築基準法施行令第121条を深堀しよう!(2以上の直通階段)
『2以上の直通階段』に関しては、建築基準法施行令第121条で定められています。火災の時に安全に避難階に避難できるように、2つ以上の階段を設けることが決められています。
該当条文を確認してみよう!
(二以上の直通階段を設ける場合)
第百二十一条 建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
(中略)
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
(省略)
上記赤字部分を見ると、第121条以外にもいくつか挙げられているね!
次章でこれらの取り扱いを解説していくよ!
第2章 各条文の適用範囲について
1500㎡の算定範囲について
対象となる部分
床面積の合計には、売場や客用スペースやそれに伴う階段や通路だけでなく、店舗全体の用途に供される部分が含まれます。具体的には以下のようなスペースが該当します。
・バックヤード
・倉庫
・事務室
・従業員用施設
・管理用スペース
除外可能な部分
駐車場部分は主たる用途ではないため、床面積の算定から除外することが可能です。
条文毎の取り扱い例を確認しよう!
第121条第1項二号:2以上の直通階段
<取り扱いについて>
店舗の用途に供する階で 「売場」 には、 駐車場の部分及び機械室・事務室・倉庫等の通常客の利用がない部分は該当しません。
(二以上の直通階段を設ける場合)
第百二十一条 建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
(中略)
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
(省略)
第122条第2項:避難階段等の設置
<取り扱いについて>
「売場」のない階は対象外となります。
スポンサーリンク(避難階段の設置)
第百二十二条 建築物の五階以上の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で五階以上の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)又は地下二階以下の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で地下二階以下の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる直通階段は同条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、特定主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が〇・二平方メートル以下のものに設けられる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 三階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる二以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
第124条第1項:避難階段等及び出入口の幅
<取り扱いについて>
建築基準法施行令第122条第2項により避難階段等が設置された場合、床面積の最大の階の床面積 (駐車場の部分は除外可能)に応じた幅を確保する必要があります。
(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)
第百二十四条 物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物における避難階段、特別避難階段及びこれらに通ずる出入口の幅は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各階における避難階段及び特別避難階段の幅の合計は、その直上階以上の階(地階にあつては、当該階以下の階)のうち床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上とすること。
二 各階における避難階段及び特別避難階段に通ずる出入口の幅の合計は、各階ごとにその階の床面積百平方メートルにつき、地上階にあつては二十七センチメートル、地階にあつては三十六センチメートルの割合で計算した数値以上とすること。
第125条第3項:屋外への出入の幅
<取り扱いについて>
床面積の最大の階の床面積(駐車場の部分は除外可能)に応じた幅を確保する必要があります。
スポンサーリンク(屋外への出口)
第百二十五条 避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第百二十条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の二倍以下としなければならない。
(中略)
3 物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上としなければならない。
上記を踏まえて一つ事例を載せておくね!
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
大規模店舗の階段計画は、単なる「法律を守る」だけではなく、建物を利用する人々の安全を守る重要な要素です。本記事では、1500㎡を超える床面積の範囲で適用される建築基準法の各規定について整理し、実務に役立つ具体例も交えて解説しました。
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