階避難安全検証法の検証の流れや概要について教えてください！
『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します！
はじめに
火災時に建物内の人々が安全に避難できるかどうかを検証する手法として、「避難安全検証法」があります。特にルートBでは、建物ごとに避難時間を計算し、安全性を証明することが求められます。
本記事では、ルートBにおける「階避難安全検証法」の検証手順や流れについて、詳しく解説いたします。避難計画の適切な策定に役立つ内容となっておりますので、ぜひ参考にしてください。
第１章 避難安全検証法とは？
避難安全検証法とは、火災時に建物内の在館者が安全に避難できるかを、計算によって検証する手法です。これにより、排煙設備や内装制限のような避難規定が一部免除可能となり、建物ごとの特性に応じた避難計画を立てることが可能となりました。
避難安全検証法には３種類ある！
避難安全検証法には大きく3つのルートがあり、それぞれ異なる手法で避難性能を検証します。
| ルート | 方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| ルートA（仕様規定） | 法令基準に適合 | 避難規定の画一的な基準を満たすことで認可 |
| ルートB（性能規定） | 告示に基づく計算手法 | 建築物ごとに避難時間を検証し、安全を証明 |
| ルートC（性能規定） | 独自の検証手法 | 高度なシミュレーションに基づき自由度の高い設計が可能 |
画一的な基準で検証するルートA『仕様規定』以外の、ルートBとルートCは、平成12年の建築基準法改正により新たに追加されました。これにより個々の建築物の状況に即した避難計画の検討が可能となりました。
特に、ルートB・Cは従来のルートAとは異なり、避難時間の詳細な検証が必要になります。そのため、建物の構造や設計次第で大きく設計条件が変わるのが特徴です。
今回の説明対象は、ルートBの階避難安全検証法だよ！
まだピンと来ていない方は、下記参考記事で『避難安全検証法』の全体感を掴んだ上で進んだがいいと思います。
これらは、『仕様規定』と『性能規定』の２つに分類できるんだね！
A→B→Cの順で検証のハードルが高くなるんだ！
第２章 階避難安全検証法の検証の流れ（一般的な検証法の場合）
1. 各居室からの避難の検証
① 居室からの避難終了時間
各居室について、在室者が居室から避難を完了する時間を計算します。
② 煙・ガスの危険領域までの降下時間
各居室について、火災発生から煙やガスが降下し、避難上危険な状態になるまでの時間を計算します。
これらの時間を比較し、[居室からの避難終了時間] ≦ [煙・ガスの危険領域までの降下時間] となることを確認します。
スポンサーリンク2. 階にいる人の直通階段への避難の検証
① 階からの避難終了時間
火災が発生した室ごとに、当該階の在室者が階からの避難を完了する時間を計算します。
② 煙・ガスの危険領域までの降下時間
火災が発生した室ごとに、当該階の避難経路について火災発生から煙やガスの降下により避難上危険な状態になるまでの時間を計算します。
これらの時間を比較し、[階からの避難終了時間] ≤ [煙・ガスの危険領域までの降下時間] となることを確認します。
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○ 当該階の各居室等の床面積の合計（A area）
この検証法では、避難が完了するまでに区画を超えて火災が拡大・延焼しないことを前提としています。その為、居室の範囲は、利用実態を考慮することを基本とします。
例えば、可動間仕切りが想定される場合は、大部屋として使用する場合と小部屋として使用する場合の両方について検証を行います。また、シャッター等で火災時に閉鎖状態となる防火設備によって区画された部分は、それぞれを一つの室として扱います。
二つの居室間の開口部に防火設備や扉などが設けられていない場合、または垂れ壁のみで区画されている場合は、室の大きさや開口部の大きさに応じて判断します。例えば、開口部の大きさが一般的な出入口程度であれば二つの居室とみなし、開口部が大きい場合は一つの居室として扱います。
また、大規模な平面を持つ建築物の場合も、原則として水平避難を考慮したブロック分けは行わず、階全体で検証を行うこととします。
スポンサーリンク第３章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう！
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね？
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です！少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ！
おわりに
階避難安全検証法を適切に理解し活用することで、建物の特性に応じた柔軟な設計が可能になります。特にルートBでは、避難時間の詳細な検証が必要ですが、その分、設計の自由度を高めながら安全性を確保できるというメリットもあります。防火避難計画を適切に進めるためにも、「建築物の防火避難規定の解説」を活用しながら、正確な検証を行っていくことが重要です。
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