【階段踊場経由の避難】歩行経路(階段室経由/廊下兼用)×2直|防火避難規定の解説

建築知識
この記事は約10分で読めます。
見習い女の子
見習い女の子

2直階段の場合、避難経路に階段の踊場を経由してもいいんですか?

建築戦士スー
建築戦士スー

原則NGです。一部例外はあります!
『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説しよう!

はじめに

踊場の番人が現れた!
踊場の番人が現れた!

建築設計をしていると、避難経路の計画で疑問に思うことが多々あります。特に 「階段踊場を避難経路として使えるのか?」 は、迷いやすいポイントではないでしょうか?

本記事では、建築基準法施行令第121条や『建築物の防火避難規定の解説』を基に、この疑問を丁寧に解説します。設計初心者でも理解しやすいよう、原則と例外を整理しながら進めていきますので、 「2以上の直通階段」 の正しい運用方法をぜひ一緒に学びましょう

記事のレベル
記事のレベル
スポンサーリンク

第1章 2以上の直通階段について

本記事で解説する『踊り場経由の避難』は、建築基準法施行令第121条(二以上の直通階段を設ける場合)に該当すること条件として解説をします。

建築基準法施行令第121条をおさらいしよう!(2以上の直通階段)

2つの階段を守る古龍
2つの階段を守る古龍
2以上の直通階段(2方向避難)
2以上の直通階段(2方向避難)
行き止まりが火事の場合、二方向避難がないとGAMEOVERです。
行き止まりが火事の場合、二方向避難がないとGAMEOVERです。

『2以上の直通階段』に関しては、建築基準法施行令第121条で定められています。火災の時に安全に避難階に避難できるように、2つ以上の階段を設けることが決められています。

該当条文を確認してみよう!

(二以上の直通階段を設ける場合)
第百二十一条 建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)
イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ五十平方メートルを超えるもの
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの
六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの
2 主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「五十平方メートル」とあるのは「百平方メートル」と、「百平方メートル」とあるのは「二百平方メートル」と、「二百平方メートル」とあるのは「四百平方メートル」とする。
3 第一項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路の全てに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の二分の一をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。
4 第一項(第四号及び第五号(第二項の規定が適用される場合にあつては、第四号)に係る部分に限る。)の規定は、階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満の建築物の避難階以外の階(以下この項において「特定階」という。)(階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)と当該階段の部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とが間仕切壁若しくは次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める防火設備で第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されている建築物又は同条第十五項の国土交通大臣が定める建築物の特定階に限る。)については、適用しない。
一 特定階を第一項第四号に規定する用途(児童福祉施設等については入所する者の寝室があるものに限る。)に供する場合 法第二条第九号の二ロに規定する防火設備(当該特定階がある建築物の居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた場合にあつては、十分間防火設備)
二 特定階を児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものを除く。)の用途又は第一項第五号に規定する用途に供する場合 戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)

引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)

建築戦士スー
建築戦士スー

詳しくは、『2直階段』の解説記事を読んでください!

スポンサーリンク

第2章 階段の踊り場が避難経路を兼ねる場合について

踊り場に潜む魔物
踊り場に潜む魔物

建築基準法施行令第121条第1項に規定されている2以上の直通階段に至る『通常の歩行経路』は下記に該当する場合、歩行経路として認められません。

<NG>屋内階段の階段室を経由する場合

階段室が火事になってしまった!進むことができない。。。
階段室が火事になってしまった!進むことができない。。。
<NG>屋内階段の階段室を経由する場合のイメージ
<NG>屋内階段の階段室を経由する場合のイメージ
1111

<NG>屋外階段の踊り場と開放廊下を兼用する場合

踊り場と廊下を兼ねる迷宮マンション
踊り場と廊下を兼ねる迷宮マンション
<NG>屋外階段の踊り場と開放廊下を兼用する場合のイメージ
<NG>屋外階段の踊り場と開放廊下を兼用する場合のイメージ
スポンサーリンク
ちょっと待って!本当にそれで勝てる?
ちょっと待って!本当にそれで勝てる?

下記の場合、『兼用』とはみなされません。これらに該当する場合は、問題なく計画が可能です。

兼用非該当の場合①。これなら問題ありません!
<OK>兼用非該当の場合①これなら問題ありません!
兼用非該当の場合②。これなら問題ありません!
<OK>兼用非該当の場合②。これなら問題ありません!
スポンサーリンク

第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!

建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
残業ブラッキー
残業ブラッキー

建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、

本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

建築戦士スー
建築戦士スー

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。

つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。

設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!

スポンサーリンク

おわりに

踊場の知識を手に入れた!
踊場の知識を手に入れた!

本記事では、 「階段踊場を避難経路として使える条件」 を中心に解説しました基本的に原則NGであり、例外がある場合でも厳格な条件が求められます。これらを理解しておくことで、避難計画におけるミスを防ぎ、安全な建築物設計が可能となります。

また、設計者として信頼できる設計を行うためには、 『建築物の防火避難規定の解説』 のような専門書を活用することが非常に重要です。ぜひ手元に置いて、今後の設計業務に役立ててください。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
<※HOMEに推移します>設計者・デザイナーの方必見!他にも沢山記事がありますので、ぜひ見てください!
『建築知識全般』全記事の知識を獲得して「レベルアップ」しよう!
スポンサーリンク
建築知識
お友達や同僚に教えてあげよう!
superreをフォローする
タイトルとURLをコピーしました