『店舗兼用住宅の非常用の照明装置の設置』について教えてください!
結論:原則店舗部分には設置。住宅部分は条件を満たすことで免除可能です!解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに
非常用照明の設置基準は、建築基準法によって定められています。しかし、店舗兼用住宅における「住宅部分には非常用の照明装置は不要なのか?」「店舗部分の扱いはどうなるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、店舗兼用住宅の非常用照明の設置義務と免除条件について、法令の根拠をもとに詳しく解説します。建築士や設計者だけでなく、店舗経営者や施主の方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
スポンサーリンク第1章 非常用の照明装置が必要な諸室について
非常用の照明装置を要求される諸室について、建築基準法施行令で定めがあります。まずは、基本的な要求事項を押さえましょう。
第四節 非常用の照明装置
(設置)
第百二十六条の四 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
三 学校等
四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの
2 第百十七条第二項各号に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
(窓その他の開口部を有しない居室等)
第百十六条の二 法第三十五条(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。第百二十七条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 面積(第二十条の規定より計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の二十分の一以上のもの
二 開放できる部分(天井又は天井から下方八十センチメートル以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の五十分の一以上のもの
2 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前項の規定の適用については、一室とみなす。
『無窓居室』は、ご存知でしょうか?下記記事で解説をしています。
第2章 小規模な店舗兼用住宅の取扱い
建築基準法施行令第126条の4第1号では、一戸建住宅などにおいて非常用の照明装置の設置を不要と規定しています。これに基づき、住宅部分の用途以外の部分の床面積が50㎡以下、延べ面積の2分の1以下といった条件を満たす小規模な店舗兼用住宅についても、非常用の照明装置の設置を免除することが可能です。
そのため、店舗兼用住宅においては、住宅部分には非常用の照明装置を設ける必要はありませんが、店舗部分には原則として設置が必要となります。ただし、平成12年建設省告示第1411号に適合する場合には、設置基準が緩和されることがあります。
○非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
(平成十二年五月三十一日)
(建設省告示第千四百十一号)
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の四第四号の規定に基づき、非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを次のように定める。非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の四第四号に規定する避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものは、令第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室及びこれに類する建築物の部分(以下「居室等」という。)で、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 避難階に存する居室等にあっては、当該居室等の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離が三十メートル以下であり、かつ、避難上支障がないもの
二 避難階の直下階又は直上階に存する居室等にあっては、当該居室等から避難階における屋外への出口又は令第百二十三条第二項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口に至る歩行距離が二十メートル以下であり、かつ、避難上支障がないもの附 則
1 この告示は、平成十二年六月一日から施行する。
2 昭和四十七年建設省告示第三十四号は、廃止する。引用:○非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
建築基準法施行令第126条の4第1号は、特定の少数の人が小規模な空間を占有する建築物について、非常用の照明装置の設置を免除することを目的とした規定です。この考え方を踏まえ、小規模な一戸建ての兼用住宅の住宅部分についても、同様の取り扱いができるとされています。
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
店舗兼用住宅の非常用照明の設置基準は、住宅部分と店舗部分で異なり、小規模な場合は免除されるケースもあります。しかし、「免除されるから不要」と単純に考えるのは危険です。法令を正しく理解し、避難経路の確保や安全性を十分に考慮することが重要です。
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