「特記仕様書」の把握は、設計図書作成の上で重要です。
本章では、「土工事」について、詳細に解説を行います!
はじめに
建築工事において、施工の基準や指針となる設計図書は、極めて重要な役割を果たします。その中でも「特記仕様書」は、特に理解を深める必要がございます。
特記仕様書を理解する為には、公共建築工事標準仕様書(以下、標準仕様書)を読み込む必要がありますが、建築工事だけでも300ページを超えるので心理的にハードルがあるのは事実です。
本記事では、「特記仕様書テンプレート(新潟県)」と「公共建築工事標準仕様書」を抜粋し、「土工事」について解説をしていきます。
スポンサーリンク第1章 設計図書って何?
設計図書は、5つの書類を指します。今回説明をする、特記仕様書と標準仕様書以外にも3つあります。全般的な設計図書の概要については、下記の記事にて詳しく説明をしております。
必ず関係性を理解した上で、本記事を読み進めることを推奨します。
第2章 特記仕様書と標準仕様書の見方について
標準仕様書と特記仕様書は、互いに補完関係にあります。その例として、上記のフローをまとめました。基本的に特記仕様書は、標準仕様書をベースに構成されています。
標準仕様書の文中には、「特記」という文言が度々使われます。この「特記」という項目が出てきた場合、特記仕様書で設定する必要がございます。
また、特記仕様書の右側に振ってある()括弧内の番号は、標準仕様書の通し番号を指します。通常設計に触れられている方々は、特記仕様書を目にする方が大半だと思いますので、迷ったら特記仕様書に記載されている通し番号を元に標準仕様書を逆引きするのが良いでしょう。
スポンサーリンク第3章 ”土工事”ってどこのこと?
上記は標準仕様書の目次です。本記事では、「3章 土工事」に特化して読み解いていきます。
上記は、特記仕様書(新潟県)です。新潟県のフォーマットを例に読み解いていきます。
スポンサーリンク第4章 逆引き解説 特記仕様書項目を標準仕様書から抜粋してみた!
特記仕様書記載の「3章 土工事」の項目を順に読み解いていきます。特記仕様書と標準仕様書を見比べることで、互いに補完し合っているのを確認しましょう。
1 埋戻し及び盛土
特記仕様書(新潟県版)
標準仕様書(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版)
2 建設発生土の処理
特記仕様書(新潟県版)
標準仕様書(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版)
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第5章 標準仕様書を項目毎にまとめました
前章では、新潟県の特記仕様書を用いて根拠文を参照しました。実際に設計事務所でお使いの特記仕様書は、新潟県版の建築工事特記仕様書より多くの記載がされていることが多いです。本章では、「3章 土工事」の標準仕様書を通し番号順にまとめました。お手元の特記仕様書の逆引きにご利用ください。
3.1.1 一般事項
3.1.2 基本要求品質
3.1.3 災害及び公害の防止
3.2.1 根切り
3.2.2 排水
3.2.3 埋戻し及び盛土
3.2.4 地均し
3.2.5 建設発生土の処理
3.3.1 山留めの設置
3.3.2 山留めの管理
3.3.3 山留めの撤去
第6章 特記仕様書のテンプレートについて
国土交通省は、特記仕様書のテンプレートを提供していません。そのため、自治体や設計事務所が独自のテンプレートを用意していることが一般的です。
自治体発行の特記仕様書
各自治体では、特記仕様書のテンプレートを公式サイトで公開していることが多いです。これらを活用することで、必要な特記事項を漏れなく記載できます。
↓まずは、無料で見れる自治体発行のテンプレートを見ることから始めよう!
特記仕様書のテンプレートを頒布している自治体(一例)※下記公式リンク添付有 ・新潟県 ・福島県 ・静岡県 ・宮城県 ・徳島県 ・島根県 ・熊本県スポンサーリンク
おわりに
特記仕様書を含む設計図書は、建設工事の円滑な進行と品質の確保に欠かせない重要な書類です。本記事で紹介したポイントを参考にして、正確でわかりやすい特記仕様書を作成してください。
特に特記仕様書の裏側に隠れた根拠を理解し、設計を行うことで、工事の成功に繋げて頂けますと本望です。