
竪穴区画において、開放廊下等や直接外気に面する場合の取り扱いを教えて下さい!

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

竪穴区画の適用除外に関する法的な取り扱いは、防火避難規定の中でも特に誤解や混乱を招きやすいテーマの一つです。とりわけ「開放廊下」や「直接外気に面する部分」の解釈については、設計実務において明確な判断基準が求められます。
本記事では、『建築物の防火避難規定の解説』(国土交通省住宅局建築指導課監修)の内容をもとに、建築基準法施行令第112条第11項における竪穴区画の適用除外規定について、具体的な条件や実務上の留意点を分かりやすく整理し解説します。

第1章 竪穴区画適用除外の開放廊下等の取り扱いについて

建築基準法施行令第112条第11項 竪穴区画には、「(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)」という記載があります。
そのため、開放廊下に面する昇降路は竪穴区画の対象外となります。
※本記事は、「平成14年5月27日 国土交通省住宅局建築指導課 日本建築行政会議」の情報を元に記載をしております。
(防火区画)
第百十二条 法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ないものについては、この限りでない。
(中略)
11 主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するものの竪たて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第十三項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪たて穴部分については、この限りでない。
一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの
二 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分

ただし、昇降機の乗場戸(開口部)が下記に該当する場合には、昇降機の乗場戸等を建築基準法第2条第九号二ロに規定する防火設備(両面20分の遮炎性能を有する防火設備)とする必要があります。
- 延焼のおそれのある部分
- 施行令第123条第2項に規定される屋外避難階段の構造で2m以内の開口部規制範囲

屋外避難階段と昇降機の出入口が近接している場合の取り扱いについては、下記記事にて解説をしているよ!

また、「直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分」は、排煙上有効に直接外気に開放されている部分とし、少なくとも廊下の幅以上の開放面を持つことが求められます。下図のイメージを参考にご覧ください。

- 開放部分の高さ(H)が天井高の1/2以上かつ1.1m以上
- 長さ(L)が廊下の幅以上
第2章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

竪穴区画の適用除外に関する知識は、建築設計における防火計画の適切な立案に不可欠な要素です。とりわけ、開放廊下や直接外気に面する部分の取り扱いを正しく理解し、適切に設計へ反映させることは、建築物の安全性のみならず法適合性の確保にも直結します。
本記事で解説した内容が、皆様の設計・確認業務の一助となれば幸いです。引き続き『建築物の防火避難規定の解説』等の資料も活用し、確かな知識に基づく設計実務を心掛けてください。