
『排煙告示第1436号の第四号イ』について教えてください!
(現:告示第221号イ)

『長屋、地下:車庫/地上:住宅、兼用住宅』の取り扱いについて解説します!
『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説します!
はじめに

建築基準法に基づく排煙設備の規定は、建築物の安全性を確保するための重要な要素です。特に『排煙告示第1436号の第四号イ』(現:告示第221号)は、長屋や兼用住宅、車庫など、用途が複合する建築物において、排煙設備の設置要件を解釈する際に避けて通れません。
本記事では、建築基準法施行令第126条の2を基に、告示第1436号第四号イが適用される条件や解釈について、わかりやすく解説します。

第1章 排煙設備が必要な場合って?

排煙設備の必要与件は、建築基準法施行令第百二十六条の二で規定されています。実際に法文を確認してみましょう。

本記事で解説をする『告示1436号の第四号』に関連するのは、下記引用文の赤字部分だよ。合わせて確認しておこう!
第三節 排煙設備
(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分

余談です。複合用途や無窓居室の場合など、本法令の細部解釈はご存知でしょうか?
下記記事にて解説をしていますので、ぜひご確認ください!
第2章 平12建告第1436号の第四号イの適用範囲(住宅等)について

平12建告第1436号第四号って?

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の二第一項第五号の規定に基づき、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を次のように定める。
火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の二第一項第五号に規定する火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分は、次に掲げるものとする。
(中略)
四 次のイからホまでのいずれかに該当する建築物の部分
(中略)
イ 階数が二以下で、延べ面積が二百平方メートル以下の住宅又は床面積の合計が二百平方メートル以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の二十分の一以上の換気上有効な窓その他の開口部を有するもの引用:火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件
(平成十二年五月三十一日)(建設省告示第千四百三十六号)

建築基準法施行令第百二十六条の二第一項第五号の但し書きを適用する為に、この告示を読み込んでいこう!
ちなみに本告示は、令和6年3月25日に『告示第221号』として改正がされているよ。イについての内容に変更はありません。
解釈1 兼用住宅への適用について

本告示第四号イでは、住宅または長屋の住戸にのみ適用されます。ただし、兼用住宅についても、以下の条件を満たす場合には住宅部分に限り排煙設備の設置を不要とすることができます。
<条件>
・階数が2以下であること。
・延べ面積が200㎡以下であること。
・居室の床面積の20分の1以上の換気に有効な窓があること。
解釈2 地下と地上が区画されている場合の適用について


地下1階(車庫等)および地上2階(住宅)の建築物で、地下部分と地上部分がRC造の床によって区画され、両者の間に出入口がない場合には、住宅部分の階数や床面積を基準として本告示第四号イを適用することが可能です。
解釈3 長屋の住戸における床面積の扱いについて

本告示第四号イにおける長屋の住戸の床面積については、長屋全体の床面積ではなく、住戸ごとの床面積が200㎡以下であれば適用することができます。
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排煙計画に関して、『吹き抜け』、但し書き二号:『学校等』、三号:『階段等』、四号:『機械製作工場等』、『ガラスの垂れ壁』、『排煙上有効な開口部』、『告示1436号』の解釈についても下記記事にて解説をしています!
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

『排煙告示第1436号の第四号イ』(現:告示第221号)は、長屋や兼用住宅、車庫の排煙設備に関する重要な規定を示しています。本記事で解説した内容を基に、設計時のポイントを再確認し、適切な排煙対策を講じることで、建築物の安全性を確保しましょう。
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