『防煙区画』で気をつけることはありますか？
本記事では、防煙区画間の仕様や解釈について解説します！
『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説します！
はじめに
建築に携わる者にとって、防煙区画と排煙設備の設計は極めて重要な要素です。火災時の煙の動きを制御することは、避難の安全性を左右するため、法律に基づいた適切な設計が求められます。
本記事では、特に注意すべきポイントである機械排煙と自然排煙の併用が認められないケースや、防煙区画間の仕様について解説します。建築基準法や防火避難規定の詳細をわかりやすく紐解き、設計に役立つ情報をお届けします。この記事を通じて、より安全な建築物の設計にお役立てください。
第１章 排煙設備が必要な場合って？
排煙設備の必要与件は、建築基準法施行令第百二十六条の二で規定されています。実際に法文を確認してみましょう。
第三節 排煙設備
（設置）
第百二十六条の二 法別表第一（い）欄（一）項から（四）項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物（建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの（以下「防煙壁」という。）によつて区画されたものを除く。）、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの（建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。）には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第一（い）欄（二）項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル（共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル）以内のもの
二 学校（幼保連携型認定こども園を除く。）、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場（以下「学校等」という。）
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分（当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。）その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
２ 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
複合用途や無窓居室の場合など、本法令の細部解釈はご存知でしょうか？
下記記事にて解説をしていますので、ぜひご確認ください！
第２章 防煙区画の基本ルールについて
防煙区画間の仕様に関する4つのルールについてご説明いたします。
①避難経路と居室の防煙区画について
『避難経路である廊下』と『居室』を同一防煙区画とすることは、避難上の支障を引き起こすため、望ましくありません。
②異種排煙方式の併用について
同一防煙区画内やたれ壁で区画された2つ以上の防煙区画において、機械排煙と自然排煙を併用することは認められていません。
スポンサーリンク③防煙区画の間仕切壁等の仕様について
防煙区画を構成する間仕切壁等に常時閉鎖式、または煙感知器連動の不燃材料の戸が設けられている場合、戸の上部に設けられる不燃材料のたれ壁は、天井面から下方に30cm以上とすることができます。
④構造的に不成立な間仕切壁について
構造的に防煙区画として成立しない間仕切壁等（例: 準不燃材料で造られたものや覆われたもの）で区画されたA1室とA2室については、A1室とA2室を同一防煙区画とするほか、A1室とA2室の個々を防煙区画とした排煙検討が必要です。
スポンサーリンク
防煙区画は、天井面から50cm以上下方に突出した防煙壁で区画することが原則ですが、防煙区画間の開口部に常時閉鎖式の不燃材料の戸が設けられている場合には、これを建築基準法施行令第126条の2第1項の「その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもの」とみなし、たれ壁が50cm未満であっても認められるとされています。この取り扱いは、平成12年建告第1436号の第四号二(二)の場合にも適用することができます。
排煙計画に関して、『吹き抜け』、但し書き二号：『学校等』、三号：『階段等』、四号：『機械製作工場等』の解釈についても下記記事にて解説をしています！
第３章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう！
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね？
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です！少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ！
おわりに
防煙区画と排煙設備の設計は、避難時の安全性を確保するために欠かせない要素です。特に、機械排煙と自然排煙の併用禁止の理解は重要であり、誤った設計は重大なリスクを伴います。本記事を参考に、防火避難規定に基づく適切な設計を進めてください。安全で快適な空間を提供するために、正確な知識と確かな設計が求められます。これからの建築設計においても、常に最新の情報を取り入れながら、最適な防火対策を講じていきましょう。
スポンサーリンク
