【完全保存版】延床 容対 施工床の違いを解説!(法定延床面積/容積対象床面積/施工床面積)

建築知識
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一級建築士:SUPERRE
一級建築士:SUPERRE

実は床面積って3種類もあるんだ!

通称:「延床」と「容対」と「施工床」だよ。

何で測るかで面積も坪単価も変わるんだ!

設計する時は、この3つの数値に敏感になろう!

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はじめに

建築物の設計において、面積の正確な把握は極めて重要です。本記事では、建物の面積に関する基本的な知識及び「法定床面積」「容積対象床面積」「施工床面積」の床面積の違いとその計算方法について詳しく解説します。

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第1章 床面積は3つ存在する

各用語における包含関係図
各用語における包含関係図
設計者A
設計者A

何だろう?この上の図は?

一級建築士:SUPERRE
一級建築士:SUPERRE

3つの床面積の関係性をまとめたよ!

実は、どれを拾うかによって名前が違うんだ。

従ってそれぞれが包含関係にあるということさ!

床面積は大きく3種類に分類可能です。「法定床面積」「容積対象床面積」「施工床面積」の3つです。
それぞれ算入する面積が異なりますが、大枠でのイメージとしては、上記のような関係性となります。ではそれぞれの面積のルールについて解説をしていきます。

① 法定床面積(通称:法床 ホウユカ)

定義:建築基準法で定められている建物の床面積であり、床面積の合計を法定延床面積と呼びます。建築確認申請書に記載されている床面積を指します。
下記項目は、法定床面積から除くことができます。

法定床面積から除外可能な項目

玄関ポーチ

ポーチは、庇型や寄り付き型(屋根下)が一般的です。屋内的用途が発生しない限り法廷床面積には含みません。物置利用や軒が深い場合には、面積に含める指導が行政から入る場合がありますので注意しましょう。

バルコニー・ベランダ

ベランダとバルコニーは、開放性の有無により除外可能か決まります。但し、外壁からの2mを超える部分については、算入対象です。

設計者A
設計者A

開放性?何か定義があるのかな?

一級建築士:SUPERRE
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開放性の定義を解説をしよう!

正式には「吹きさらし廊下」の定義と同義なんだ。

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「開放性の高い」の定義とは?

開放性の高いバルコニーの定義は下記条件となります。

(専門用語では、「吹きさらし廊下」の定義に該当。以降、吹きさらし廊下と呼ぶ。)

開放性の条件概念図
開放性の条件 概念図

条件① 階段に設置された手すりや壁から天井まで1.1m以上の高さがあること。
条件② 天井高さの1/2以上が、外気に有効に開放されていること。
条件③ 隣地境界線との離隔距離は各行政要確認

上記を全て満たす場合、「開放性の高いバルコニー」とすることができます。

出窓

以下条件の全てを満たす出窓の場合、面積に算入しません。
条件① 下端の床面からの高さが、30cm 以上であること。
条件② 周囲の外壁面から水平距離50cm 以上突き出ていないこと。
条件③ 見付面積の1/2 以上が窓であること。

出窓の面積除外可能な条件の概念図
出窓の面積除外可能な条件の概念図
外部廊下 屋外階段
外部廊下・屋外階段イメージ

「吹きさらし廊下」かつ下記条件に該当する場合、面積除外可能です。

条件① 吹きさらし廊下に該当(バルコニー・ベランダ項参照)
条件② 外部に開放されている部分の長さが、外部階段の周長の1/2以上あること

小屋裏物置

ロフト(小屋裏収納)は、以下条件の全てを満たす場合、面積に算入しません。

条件① 固定式梯子を取り付けないこと。
条件② ロフトの面積は、設置階の床面積の1/2未満であること。
条件③ ロフトの床面から天井までの高さが1.4m以下であること。

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② 容積対象床面積(通称:容対 ヨウタイ)

容積対象床面積は、法定床面積から容積率計算上の不算入部分の面積を引いた面積です。
名前の通り、建物の容積率算定に使う面積となります。

容積率って?

(容積率)

第五十二条 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。以下省略

建築基準法/昭和二十五年法律第二百一号

容積対象床面積から除外可能な項目

共同住宅の共用廊下・階段

屋内外を問わず容積対象床面積からは除外が可能です。※共同住宅に限る

共同住宅のバルコニー
共同住宅の集合郵便受け・宅配ボックス
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共同住宅のエントランスホール
共同住宅のエレベーターホール
共同住宅のエレベーターホールイメージ
エレベーターの昇降路
駐車場・駐輪場
駐車場・駐輪場イメージ

駐車場及び駐輪場は、全体法定延床面積の1/5を上限として容積対象床面積から除外可能となります。1/5を超える場合、超える面積のみ算入が必要です。

住宅の地下室
住宅の地下室イメージ

下記条件を満たす場合、全体法定延床面積の1/3を上限として容積対象床面積から除外可能となります。1/3を超える場合、超える面積のみ算入が必要です。

条件① 地階であること。
条件② 住宅用途であること。
条件③ 地盤面から高さ1m以下に地下室の天井があること。

一級建築士:SUPERRE
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共同住宅は、特に緩和措置が多いね!

「居住」に関しては、大目に見られているんだね!

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③ 施工床面積(通称:施工床 セコウユカ)

施工床面積は、実際に建物が建設される際に必要な面積を指します。一般的には、法定延床面積算定に含まない部分(基礎、吹き抜け、バルコニーなど)を含めた全ての面積を指します。
施工床面積は、定義がない為、会社によって独自基準が設けられています。その為、同じ建物であっても算出する会社によって施工面積が異なる場合があります

設計者A
設計者A

施工床には定義がないってことは…

一級建築士:SUPERRE
一級建築士:SUPERRE

施工会社やハウスメーカーが主張する坪単価は、

一概には比較できないということだね!

設計者A
設計者A

先を越された!

今度施工会社から坪単価を提示されたとき、

施工床の拾い方をヒアリングする癖をつけようっと!

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おわりに

床面積は建築設計において重要な要素であり、その理解が不動産の価値やコストに直接影響を与えることを学んでいただけたと思います。「法定床面積」「容積対象床面積」「施工床面積」の3つの床面積は、それぞれ異なる目的やルールに基づいて算出されるため、正確な理解が求められます。

これらの面積の違いを正確に把握することが、建物の設計、建築確認申請、そしてコスト計算において大きな助けとなります。また、施工会社やハウスメーカーとのやり取りにおいても、これらの面積の定義や算出方法を理解していることで、より有利な条件を引き出せるでしょう。

最後に、建築に携わる全ての人々がこれらの知識を活用し、より良い建築物を生み出す一助となることを願っています。この記事が、皆様の設計や施工における参考となれば幸いです。

※本記事の解説の法令根拠は、下記「床面積の算定方法について」を元に解説をしております。参考共有をさせて頂きます。

床面積の算定方法について

建設省住指発第一一五号
昭和六一年四月三〇日
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