耐火構造の建築物を設計する際、外壁に木材は使えますか?
『建築物の防火避難規定の解説』を基に、わかりやすく解説しよう!
はじめに
建築設計において、耐火構造の建築物に木材を使用する場合、どのような基準が求められるのかを理解することは非常に重要です。特に、防火性能が求められる部分に木材などの可燃材料を使用する際の適用条件を正確に把握していないと、設計において大きな問題となる可能性があります。
本記事では、耐火構造における木材の使用可否や、防火避難規定に基づく具体的な設計条件について、わかりやすく解説します。
スポンサーリンク第1章 耐火建築物って?
『耐火建築物』とは、建築基準法に定められた以下の2つの条件を満たす建築物のことです。
条件1 主要構造部が『耐火構造』or『一定以上の耐火性能を有する(耐火性能検証法等)』
条件2 延焼のおそれのある部分に位置する開口部:防火設備(建築基準法2条九の二号ロ)とする
耐火建築物の解説は、下記記事にて詳しくしています。
不安な方は、チェックしておこう!!
第2章 耐火構造で外壁に木材は使えるの?
結論:一般的に告示仕様(例示仕様)であれば表面に可燃材料を張れます。
耐火構造(準耐火構造や防火構造、準防火構造を含む)の外壁や軒裏に木材などの可燃性材料を表面材として使用する場合、その構造に必要な性能が損なわれない範囲であれば許容されます。ただしこの場合、告示で例示されている構造方法の表面材としての使用に限定されており、認定耐火構造においては、表面材も含めた認定が原則的に必要となります。
また、FRP製などの表面材を使用する場合、火災時に高熱を発する恐れがあり、遮熱性能に影響を与える場合は、大臣の認定が必要となる可能性があります。
外断熱材を外壁に施す場合も、耐火性能が維持されると判断される場合に限り認められます。外断熱材としては、グラスウールやロックウールなどの不燃性断熱材が適切とされています。
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨コンクリート造・鉄材で補強されたコンクリートブロック造・レンガ造・石造の外壁には、発泡プラスチック系などの有機系断熱材(JIS認定製品は下記の通り)を外断熱材として用いることも可能です。
分類 | 種類 | JIS番号 |
---|---|---|
発泡プラスチック系 | ビーズ法ポリスチレンフォーム | JIS A 9521 |
発泡プラスチック系 | 押出法ポリスチレンフォーム | JIS A 9521 |
発泡プラスチック系 | 硬質ウレタンフォーム | JIS A 9521 |
発泡プラスチック系 | フェノールフォーム | JIS A 9521 |
表にまとめてみました!
項目 | 内容 |
---|---|
可燃性材料の使用条件 | 外壁や軒裏に木材等を使用する場合、告示仕様の表面材として適用し、構造性能が損なわれない限り許容。認定耐火構造の場合、表面材も含めた認定が必要。 |
FRP製等の表面材 | 火災時に高熱を発して遮熱性能に影響がある場合、大臣の認定が必要。 |
外断熱材の使用 | 構造性能を維持できる場合に限り使用可能。グラスウールやロックウール等の不燃性断熱材が適切とされる。 |
鉄筋コンクリート等の外壁の断熱材 | 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨コンクリート造・鉄材で補強されたコンクリートブロック造・レンガ造・石造の外壁は、発泡プラスチック系等の有機系断熱材(JIS認定製品)の使用が可能。 |
『主要構造部』とは?建築基準法で見てみよう。
スポンサーリンク(用語の定義)
第二条この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
<中略>
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。引用:建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
耐火建築物における外壁や軒裏での木材の使用は、告示仕様に基づいた設計が求められます。可燃材料の使用条件や、認定が必要となる場合のポイントを理解することで、より安心・安全な建築設計が可能です。防火避難規定をしっかりと把握し、より良い建築物を目指しましょう。
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