
「寒冷地や積雪が多い地域での建築設計のピロティの留意点」について教えて下さい!

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地でのピロティの留意事項について』を解説しよう!
はじめに

寒冷地での建築において、ピロティや空中歩廊は魅力的な空間演出を可能にする一方で、外気に接する部位が多いため、結露や凍害といった特有のリスクが生じやすくなります。特に床や浴室など水分を含みやすい場所では、不具合が顕在化しやすいため、設計段階から十分な検討が欠かせません。
本記事では、ピロティを含む建築計画で注意すべき設計上のポイントをまとめ、具体的な対応策をご紹介します。

第1章 外気に接する床について

ピロティの上部に配置される部屋の床は、外気の影響を直接受けやすいため、結露や凍害に起因する不具合が生じやすい部位です。断熱方法や仕上げ材の選定を誤ると、居住性の低下や仕上げの剥離など深刻な問題につながります。ここでは、外気に接する床で考慮すべき代表的な問題を取り上げます。
1-1. ピロティ上部の床の結露
- 問題事象
外気に接するピロティ等の上部にある部屋の床は結露しやすい。 - 主な原因:結露
- 対応策
- 床の外周部は無機質系超軽量モルタルでスラブ上の断熱を施す。
- ピロティなど外気に接する床スラブの下に断熱材を設置する。
- ピロティの天井を仕上げ、天井面でも断熱を行い、懐内に外気が侵入しない納まりとする。
1-2. ピロティ上部が浴室の場合の凍害
- 問題事象
ピロティ等の上部が浴室の場合、床にタイルや石を張ると、下地モルタルにたまった水が凍結し、仕上げがはがれることがある。 - 主な原因:凍害
- 対応策
- 水勾配を十分にとり、水はけを改善する。
- 床仕上げには吸水率の低い材料を使用する。
- 外気に接する浴室では、凍結防止のために室内の採暖や断熱保温を行う。
第2章 空中歩廊について

空中歩廊はその性質上、外気に直接接する面が大きく、結露や凍害が発生しやすい部位です。サッシやガラス面に水分が残ると、冬季には凍結や漏水の原因となるため、設計段階での配慮が不可欠です。ここでは、空中歩廊の床やガラス面での注意点を解説します。
- 問題事象
空中歩廊の床やサッシは結露しやすく、ガラスが凍結することもある。 - 主な原因:凍害
- 対応策
- 外気に接する面が大きいため、効果的な断熱工法を採用する。
- ガラス面に結露が発生する場合に備え、結露受けを十分に設ける。
おわりに

ピロティや空中歩廊は建築空間に開放感や利便性をもたらす一方で、寒冷地では結露や凍害といった問題を引き起こしやすい部位です。断熱材の適切な配置、水勾配の確保、仕上げ材の選定など、細部まで配慮することで不具合を未然に防ぎ、安心して利用できる空間を実現できます。寒冷地特有のリスクを理解し、設計の初期段階から反映させることが、快適で長寿命な建築をつくるための鍵となるでしょう。
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