『歩行距離が30mを越える大部屋における非常用照明装置の設置条件』について教えてください!
解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに
建築設計において「非常用照明装置」は、安全な避難を確保するために不可欠な要素です。
本記事では、歩行距離が30mを超える大部屋において、建築基準法施行令と建設省告示第1411号 をもとに、非常用の照明装置の設置条件を解説します。設計ミスを防ぐためにも、しっかりと理解しておきましょう!
スポンサーリンク第1章 非常用の照明装置が必要な諸室について
非常用の照明装置を要求される諸室について、建築基準法施行令で定めがあります。まずは、基本的な要求事項を押さえましょう。
第四節 非常用の照明装置
(設置)
第百二十六条の四 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室、第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
三 学校等
四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの
2 第百十七条第二項各号に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
(窓その他の開口部を有しない居室等)
第百十六条の二 法第三十五条(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。第百二十七条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 面積(第二十条の規定より計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の二十分の一以上のもの
二 開放できる部分(天井又は天井から下方八十センチメートル以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の五十分の一以上のもの
2 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前項の規定の適用については、一室とみなす。
『無窓居室』は、ご存知でしょうか?下記記事で解説をしています。
第2章 歩行距離が30mを超える大部屋の取扱い
平成12年建設省告示第1411号の適用において、屋外への出口までの歩行距離が30mを超える大部屋がある避難階では、次のように取り扱います。
○非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
(平成十二年五月三十一日)
(建設省告示第千四百十一号)
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の四第四号の規定に基づき、非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを次のように定める。非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の四第四号に規定する避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものは、令第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室及びこれに類する建築物の部分(以下「居室等」という。)で、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 避難階に存する居室等にあっては、当該居室等の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離が三十メートル以下であり、かつ、避難上支障がないもの
二 避難階の直下階又は直上階に存する居室等にあっては、当該居室等から避難階における屋外への出口又は令第百二十三条第二項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口に至る歩行距離が二十メートル以下であり、かつ、避難上支障がないもの附 則
1 この告示は、平成十二年六月一日から施行する。
2 昭和四十七年建設省告示第三十四号は、廃止する。引用:○非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを定める件
- 小部屋部分は、屋外への出口までの歩行距離が30m以内であるため、非常用の照明装置の設置は不要です。
- 大部屋部分は、屋外への出口までの歩行距離が30mを超えるため、この大部屋部分のすべてに非常用の照明装置の設置が必要です。
- 廊下部分は避難経路に該当し、本告示で緩和される居室等には含まれないため、非常用の照明装置の設置が必要です。
なお、歩行距離は通常の歩行経路により算定し、避難階の直下階または直上階においては歩行距離30m以内が20m以内となるため、注意が必要です。
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建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
非常用照明の免除が適用される大部屋の条件は、 「避難階」や「歩行距離30m」 というキーワードと密接に関係しています。本記事で紹介した 法令の要件を満たしているか を確認しながら、設計を進めましょう。設計の根拠を明確にし、安全かつ合理的な避難計画を実現していきましょう!
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