【排煙告示】第1436号の第三号/天高3mの取り扱い|防火避難規定の解説

建築知識
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見習い女の子
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『排煙告示第1436号の第三号』について教えてください!

建築戦士スー
建築戦士スー

3mの算定方法・梁部分の考え方・勾配天井の取り扱いについて解説します!

『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説します!

はじめに

排煙設備の番人が現れた!
排煙設備の番人が現れた!

排煙設備について、建築基準法や関連告示は非常に複雑で、多くの設計者が理解に苦労するポイントです。

本記事では、『排煙告示第1436号の第三号』を取り上げ、天井高さ3mの算定方法や梁部分の取り扱い、勾配天井の特例について詳しく解説します。

また、法令だけでは分かりにくい部分について、『建築物の防火避難規定の解説』を基に、事例を交えながら具体的に説明していきます。この記事を読むことで、排煙設備に関する重要なポイントを押さえ、実務に役立つ知識を得ることができるでしょう。

記事のレベル
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第1章 排煙設備が必要な場合って?

煙に化ける魔物
煙に化ける魔物

排煙設備の必要与件は、建築基準法施行令第百二十六条の二で規定されています。実際に法文を確認してみましょう。

建築戦士スー
建築戦士スー

本記事で解説をする『告示1436号の第三号』に関連するのは、下記引用文の赤字部分だよ。合わせて確認しておこう!

第三節 排煙設備
(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分

引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)

建築戦士スー
建築戦士スー

余談です。複合用途や無窓居室の場合など、本法令の細部解釈はご存知でしょうか?
下記記事にて解説をしていますので、ぜひご確認ください!

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第2章 平12建告第1436号の第三号に基づく天井の高さの取り扱い

初期火災時に確実な避難をする村人
初期火災時に確実な避難をする村人

排煙設備は、初期火災時に発生する煙を速やかに排出することで、避難上の安全を確保することを目的としています。火煙は天井面に沿って拡大するため、排煙口は可能な限り高い位置に設ける必要があります。ただし、天井が高い場合、一定以上の高さに排煙口を設けることで、煙が人の避難に有害な高さまで降下する可能性が少なくなることから、平12建告第1436号の第三号では排煙口の位置に関する特例を設けています

平12建告第1436号第三号って?

引用:平12建告第1436号より

建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の二第一項第五号の規定に基づき、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を次のように定める。

火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の二第一項第五号に規定する火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分は、次に掲げるものとする。
 (中略)
三 次に掲げる基準に適合する排煙設備を設けた建築物の部分(天井の高さが三メートル以上のものに限る。)
イ 令第百二十六条の三第一項各号(第三号中排煙口の壁における位置に関する規定を除く。)に掲げる基準
ロ 排煙口が、床面からの高さが、二・一メートル以上で、かつ、天井(天井のない場合においては、屋根)の高さの二分の一以上の壁の部分に設けられていること。
ハ 排煙口が、当該排煙口に係る防煙区画部分に設けられた防煙壁の下端より上方に設けられていること。
ニ 排煙口が、排煙上、有効な構造のものであること。

引用:火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件
(平成十二年五月三十一日)(建設省告示第千四百三十六号)

建築戦士スー
建築戦士スー

建築基準法施行令第百二十六条の二第一項第五号の但し書きを適用する為に、この告示を読み込んでいこう!
続いて『天井の高さ』について、さらに解説をしていくよ!

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天井の高さの取り扱いについて

平12建告第1436号の第三号でいう「天井の高さ」については、以下のように取り扱います。

梁のある部分

梁表しの天井計画
梁表しの天井計画
勾配屋根の場合のイメージ
勾配屋根の場合のイメージ

梁がある場合は、その部分を除くものとします。

勾配屋根の場合

勾配屋根の場合は、平均の天井高さが3mあれば良いものとします。

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傾斜天井における防煙壁の設置

傾斜天井における防煙壁の設置のイメージ
傾斜天井における防煙壁の設置のイメージ

傾斜天井で防煙壁を設置する場合は、防煙壁の下端が排煙口の下端より50cm以上確保されていれば設置可能です。ただし、排煙口の位置や傾斜天井の形式によって蓄煙容積が著しく少ない場合は、別途有効な排煙効果を発揮できる手段を講じる必要があります。

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have a break!!!
have a break!!!
建築戦士スー
建築戦士スー

排煙計画に関して、『吹き抜け』、但し書き二号:『学校等』、三号:『階段等』、四号:『機械製作工場等』、『ガラスの垂れ壁』、『排煙上有効な開口部』の解釈についても下記記事にて解説をしています!

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第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!

建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
残業ブラッキー
残業ブラッキー

建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、

本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

建築戦士スー
建築戦士スー

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。

つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。

設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!

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おわりに

排煙設備の知識を手に入れた!
排煙設備の知識を手に入れた!

『排煙告示第1436号の第三号』の解釈を正しく理解することは、建築設計において極めて重要です。特に、天井高さ3mの基準や梁・勾配天井の取り扱いは、避難時の安全性に直結するため、慎重な検討が必要です。さらに具体的な事例や追加の情報が必要であれば、専門家や行政の窓口に相談することをお勧めします。実務に役立つ知識を深めて、安全で信頼性の高い建築を目指しましょう。

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