界壁ってなに?
共同住宅や長屋で必要な設計だね!解説しよう。
はじめに
共同住宅や長屋などで重要な要素の一つに「界壁」があります。界壁とは、住戸同士を仕切る壁で、遮音性や防火性能を持たなければなりません。本記事では、界壁の必要性や具体的な性能基準、設計時に知っておくべきポイントを学んでいきましょう!
スポンサーリンク第1章 界壁ってなに?
意味:共同住宅や長屋に計画される住戸と住戸の部屋を仕切る壁を指します。
界壁が必要な用途は?
スポンサーリンク建築基準法で見てみよう!
遮音性能に関して
(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
第三十条 長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 小屋裏又は天井裏に達するものであること。
2 前項第二号の規定は、長屋又は共同住宅の天井の構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために天井に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、適用しない。
第二節の三 長屋又は共同住宅の界壁の遮音構造等
第二十二条の三 法第三十条第一項第一号(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げる数値以上であることとする。
振動数 (ヘルツ) 透過損失 (デシベル) 125 25 500 40 2000 50 2 法第三十条第二項(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、前項に規定する基準とする。
防火性能に関して
(建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
第百十四条 長屋又は共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の界壁を除く。)は、準耐火構造とし、第百十二条第四項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
2 学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第百十二条第四項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
3 建築面積が三百平方メートルを超える建築物の小屋組が木造である場合においては、小屋裏の直下の天井の全部を強化天井とするか、又は桁行間隔十二メートル以内ごとに小屋裏(準耐火構造の隔壁で区画されている小屋裏の部分で、当該部分の直下の天井が強化天井であるものを除く。)に準耐火構造の隔壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 法第二条第九号の二イに掲げる基準に適合する建築物
二 第百十五条の二第一項第七号の基準に適合するもの
三 その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、その構造及び用途並びに周囲の状況に関し避難上及び延焼防止上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場の上家
4 延べ面積がそれぞれ二百平方メートルを超える建築物で耐火建築物以外のもの相互を連絡する渡り廊下で、その小屋組が木造であり、かつ、けた行が四メートルを超えるものは、小屋裏に準耐火構造の隔壁を設けなければならない。
5 第百十二条第二十項の規定は給水管、配電管その他の管が第一項の界壁、第二項の間仕切壁又は前二項の隔壁を貫通する場合に、同条第二十一項の規定は換気、暖房又は冷房の設備の風道がこれらの界壁、間仕切壁又は隔壁を貫通する場合について準用する。この場合において、同項中「特定防火設備」とあるのは、「第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後四十五分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの」と読み替えるものとする。
6 建築物が火熱遮断壁等で区画されている場合における当該火熱遮断壁等により分離された部分は、第三項又は第四項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
なるほど!界壁には「遮音性能」と「防火性能」が求められるんだ!
界床(かいゆか)って言葉もよく聞くけど。。。
第2章 界壁の構造について
前章の法文より、大きくは 遮音性能と防火性能か求められていることは分かったね。
それぞれを深掘りしていこう!
遮音性能について
界壁の遮音性能を担保するには、告示適用若しくは大臣認定仕様のいずれか選択する必要があります。
告示適用の場合
告示を適用する場合は、「建設省告示第1827号」を準拠する必要があります。詳細な構造については、下記を参照ください。
大臣認定仕様の場合
大臣認定仕様を選択する場合は、「SOI」を取得している規格を選定する必要があります。詳細な構造については、各建材メーカーのサイトでご確認ください。
スポンサーリンク防火性能について
界壁は、「準耐火構造」以上とすることが建築基準法により定められています。
「準耐火構造」以上とする場合、告示適用か大臣認定のいずれかを選択できます。
告示適用の場合
告示を適用する場合は、構造別に下記を準拠する必要があります。詳細な構造については、それぞれご参照ください。
準耐火構造の場合:建設省告示第1358号
耐火構造の場合:建設省告示1399号
スポンサーリンク大臣認定の場合
大臣認定仕様を選択する場合は、構造別に定められた規格を選定する必要があります。
準耐火構造の場合:QF
耐火構造の場合:FP
スポンサーリンク界壁の一部は緩和できる?!
界壁の緩和に関しては、下記記事にて解説をしています。是非ご確認ください。
おわりに
界壁は、共同住宅や長屋における快適な生活空間を守る重要な要素です。特に遮音性能や防火性能に関する基準を正しく理解し、適切に設計することが求められます。今後の設計業務において、この知識を活かし、住戸同士の快適さと安全性を確保できる設計を目指していきましょう!
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