【寒冷地/積雪地】電気設備計画で注意すべき9のポイント|凍害・雪害への対策まとめ

建築知識
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一級建築士 / DJ / ブロガー / TOEIC815 / 設計事務所勤務。建築・不動産関連及び宿泊事業に関するサイト「アーキクエスト」の運営者。JIA優秀賞受賞/元組織設計事務所勤務/学生コンペ受賞/米国バックパッカー

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見習い女の子
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「寒冷地や積雪が多い地域での電気設備計画の留意点」について教えて下さい!

建築戦士スー
建築戦士スー

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね
寒冷地での電気設備計画の留意事項について』を解説しよう!

はじめに

寒冷地の番人が現れた
寒冷地の番人が現れた

寒冷地や積雪地では、電気設備が外気温や雪・氷の影響を受けやすく、凍害・雪害・低温障害・結露障害などが発生しやすい環境にあります。一度トラブルが起きると、停電や機器の故障など、建物の機能を著しく損なう恐れがあります。

本記事では、寒冷地における電気設備計画の留意点と実務的な対策をカテゴリ別に解説します。設計段階から注意すべきポイントを整理し、安全で信頼性の高い電気設備計画を目指しましょう。

記事のレベル
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第1章 埋設配管 ― 凍害によるケーブル損傷を防ぐ

駐車場に埋設配管を施工する
駐車場に埋設配管を施工する

寒冷地では地中温度が氷点下になるため、埋設した電線管内部に水が入り込むと凍結し、電線被覆を傷つけて絶縁不良を起こすことがあります。

問題点
配管内の水分が凍結・融解を繰り返し、ケーブル被覆を損傷。

原因
凍害による凍結膨張。

対応策

  • 配管は凍結深度よりも深く埋設する。
  • 配管接続部には止水処理を行い、雨水の浸入を防ぐ。

第2章 キュービクル ― 雪害・凍害から設備を守る設置計画

高圧受電を剣で行う勇者
高圧受電を剣で行う勇者

積雪や堆雪によってキュービクルの点検扉が開かなくなる、基礎が凍害で破損するなど、保守管理に影響を及ぼすリスクがあります。

問題点①
積雪で点検扉が開かなくなる。
原因雪害
対応策

  • 機器底面の高さを積雪量に応じて設定する。
  • 雪処理を考慮した点検ステージ・歩廊を設ける。

問題点②
基礎が凍害で破損する。
原因凍害
対応策

  • 基礎底を凍結深度以下に根入れする。
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第3章 自家発電設備 低温環境下での発電能力を確保

発電効率が落ちる豪雪地帯の冬
発電効率が落ちる豪雪地帯の冬

寒冷地では低温によってエンジンオイルの粘度が上がり、発電性能が低下するほか、冷却水の凍結リスクもあります。

問題点
低温で発電機能が低下、冷却水が凍結する。
原因低温障害
対応策

  • 屋内設置を基本とする。
  • 寒冷地仕様の機器を採用。
  • 空冷式の発電機を使用して凍結リスクを軽減。

第4章 蓄電池設備 ― 室温管理が性能を左右する

蓄電機能を小手に備える
蓄電機能を小手に備える

低温になると放電容量が著しく低下するため、電力供給に支障をきたすおそれがあります。

問題点
室温低下で放電容量が減少。
原因低温障害
対応策

  • 室温を5℃以上に保つ。
  • 性能低下を見込んで放電容量を設計段階で補正する。
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第5章 電線管・アウトレットボックス ― 結露対策が絶縁不良防止の鍵

電気を絶縁する巨大な秘石
電気を絶縁する巨大な秘石

外周部に電線管やボックスを設置すると、温度差で結露が発生し絶縁不良につながることがあります。

問題点
結露水による絶縁不良。
原因結露
対応策

  • 屋上スラブ・外壁への埋め込みを避ける
  • やむを得ない場合は断熱材でカバーし、隙間をシールする。

第6章 屋外照明器具 ― 着雪・落雪から器具を守る設計

フラッシュ攻撃で目眩しをする
フラッシュ攻撃で目眩しをする

軒下や屋外照明は雪の重みや落雪による破損が多い箇所です。

主な問題と対策

問題点原因主な対応策
軒下照明の破損雪害巻き垂れを考慮して壁寄せや埋め込み設置
外灯の故障・破損雪害着雪しにくい器具を選定
雪の落下による危険雪害落雪のない位置に設置
蛍光灯の減光・不点灯低温障害LEDや水銀灯を採用
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第7章 凍結防止ヒーター ― 安全設計とメンテナンス性を確保

凍結防止ヒーターで大寒波に備える
凍結防止ヒーターで大寒波に備える

ヒーターやサーモスタットが結露や浸水で絶縁不良を起こすケースがあります。

対応策

  • 単独回路で配線する。
  • 自己温度制御型ヒーターパイロットランプ付きサーモスタットを使用。
  • 配管の結露を防ぐ仕様を選ぶ。
  • 点検口を設けて保守性を確保する。

第8章 ロードヒーティング・ルーフヒーティング ― 経済性と運用性の両立

ボスに勝利したら融雪設備が手に入る
ボスに勝利したら融雪設備が手に入る

電気式融雪設備は設置コストや電気代が大きいため、運用計画と効果のバランスが重要です。

主な問題点と対応策

  • 機能性・経済性を事前検討し、気象条件に適した仕様を選ぶ。
  • 建物配置・屋根形状・外構計画と整合をとる。
  • センサー方式(温度・降雪・水分)を適切に選定
  • 回路分けを行い、メンテナンス時の故障リスクを最小化。
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第9章 ソーラー設備(発電・温水器) ― 積雪による性能低下を防ぐ

ソーラー充電を完了した祠
ソーラー充電を完了した祠

ソーラーパネルや温水器は積雪や凍結により性能が低下するため、設置角度・高さ・配管計画が重要です。

主な対策

  • 設置緯度と積雪量を考慮し、パネル角度や架台高さを設定。
  • 温水器配管には水抜き方式の凍結防止策を講じる。

おわりに

寒冷地の知識を手にいれた
寒冷地の知識を手にいれた

電気設備は、寒冷地の建物の安全性と快適性を支える重要な要素です。凍害・雪害・低温障害といった自然環境の影響を見越した計画を行うことで、長期的に安定した設備運用が可能になります。設計段階から、凍結深度、積雪量、気温条件、メンテナンス性を総合的に考慮し、地域特性に合わせた電気設備計画を立てましょう。

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寒冷地での計画に関してのおすすめ書籍

勇者を救う救世主が残した魔本
勇者を救う救世主が残した魔本

積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。

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