建築・不動産企画って言葉は理解できたけど、誰が何を企画してくれるのか分からなくて。
業務高度化によって沢山のケースがあるから細かく説明していくよ!
第1章 変わりつつある企画者
建築・不動産の企画はもともと事業主体、言い換えれば顧客自身が担うべき業務でした。
しかしながら、近年、事業が複雑化し高度化するにつれて、これらの業務を専門家として委託し、実行する企画主体が現れています。
これまでは主に建設会社やデベロッパー、設計事務所などが中心的な役割を果たしてきましたが、今では金融機関、広告代理店、税務会計事務所、多岐にわたるプロデューサーなども、企画業務に進出しています。個人や専門事務所も急増しています。
第2章 企画毎の主体者について
この章では、実際の主体者と目的と特徴について解説をします。
下記表は、主要な企画主体ごとに企画業務の目的と特徴を要約して示したものです。
各企画主体は独自のアプローチと専門分野を備え、そのスタンスを反映しています。
例えば、設計事務所は空間企画に長け、税務会計事務所は専門的な知識を基に経営企画を展開しています。また、企画業務を専門としない企画主体は、通常、本業を支援するために無償で企画業務を提供することがあります。
企画主体 | 目的と特徴 |
---|---|
建築・不動産企画事務所 | 企画業務が主な目的。設立経緯により得意分野が異なり、専門コンサルタントは特定分野の計画に強み。 |
設計事務所 | 設計業務の受注が目的。空間企画に優れ、建築技術アドバイスや確認申請実務も行う。 |
建設会社(ゼネコンなど) | 建設工事の受注や共同事業が目的。ハード計画と事業計画の両面を担当し、事業運営のノウハウを持つ。 |
デベロッパー | 用地売買や共同ビル建設が目的。外部事務所を活用し、事業計画やテナント計画に集中。自ら事業主体としても活動。 |
金融機関 | 建設資金の融資や共同ビル建設などが目的。外部事務所を使い、事業計画を中心に展開。コンペではコーディネーターも。 |
公社など | 建設資金融資や街づくりが目的。街づくりや住宅企画など、業務に合わせて企画を進める。 |
広告代理店 | 広告代理やイベント企画が目的。外部事務所を活用し、全体の調整を得意とし、初期段階の企画調査も行う。 |
専門事務所 | 専門業務の受託が主な目的。専門分野を活かした経営企画を行い、一部では企画業務を主要業務としている。 |
以下は、企画主体者毎に解説を行います。
建築および不動産企画会社
目的: 本業が企画業務自体である
特徴: 各会社は設立経緯に基づいて、専門分野が異なります。商業コンサルタントや医療コンサルタントなどの専門家は、特定の分野における商品計画や施設計画に強みを持っています。
設計事務所
目的: 設計業務の受注など
特徴: 空間企画に関連する分野に優れています。建築技術のアドバイス、バリュー・エンジニアリング(VE)、確認申請業務を担当します。
設計事務所についてはこちらで解説しています。
建設会社(ゼネコンなど)
目的: 建設工事の受注、共同事業など
特徴: ハード面の計画だけでなく、事業計画や資金調達計画なども幅広く行えます。事業運営に関するノウハウを持つ場合も多く、コンペなどでは幹事会社になることもあります。
ゼネコンについてはこちらで解説しています。
デベロッパー
目的: 用地売買、事業受託、等価交換、共同ビル建設
特徴: プランニングなどは外部の事務所を利用し、事業計画やテナント計画などを中心に進めます。事業主体としても活動することが一般的です。
金融機関
目的: 建設資金の融資、土地信託受託、用地取得、共同ビル建設など
特徴: プランニングなどは外部の事務所を利用し、事業計画を中心に展開します。事業における融資も行います。事業コンペではコーディネーターとしても活動することがあります。
公社
目的: 建設資金の融資、共同事業の実施など
特徴: 街づくり、複合開発企画、住宅企画など、公社の業務内容に適した企画を行います。
広告代理店
目的: 広告代理業、イベント企画の受託など
特徴: 外部の事務所を効果的に活用しつつ、全体の調整を得意とします。初期段階での企画調査やコンセプトワークに強みを持ちます。プレゼンテーション力が高い一方、現実味に欠ける場合もあります。
専門事務所
目的: 専門業務の受託
特徴: 法律事務所、会計事務所、税理士事務所、不動産鑑定事務所などが含まれます。専門分野に基づいた経営計画などを中心に進める場合もあります。企画業務自体が主要業務となる事務所も存在します。
あとがき
企画主体の選定は事業の成功に大きな影響を与える重要な要素であり、事業目的に適合する主体を選ぶことが必要です。各主体が異なるアプローチと専門性を有するため、選択は慎重に行われるべきです
また、期待される企画の範囲に応じて、最適な企画主体が異なることがあります。企画書の作成だけを期待する場合もあれば、企画の実施までを担当することも期待される場合があります。そのため、顧客のニーズに合わせて企画主体を選ぶことが重要です。