
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上の組積工事の留意点」について教えて下さい!

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地での組積工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

冬季に行うブロックやレンガの組積工事では、低温によるモルタル強度不足や凍結トラブルが発生しやすくなります。特に気温が2℃を下回る現場では、施工そのものを見合わせる判断も重要です。
本記事では、寒冷地での組積工事における施工条件・調合・養生方法について、現場目線で解説します。

第1章 施工条件|低温下での作業は「やらない勇気」も大切

気温が2℃以下、もしくは施工後に0℃を下回る恐れがある場合、モルタルが十分に硬化せず、強度不足や剥離などの欠陥につながります。そのため、原則として気温が2℃を下回る環境では作業を中止します。
やむを得ず施工する場合は、以下の対策を行いましょう。
- 保温養生の実施:積み上げ後はシートや保温マットで覆い、外気を遮断します。
- 採暖対策の導入:現場全体を加温するか、局所的に温風機などを設置して温度を維持します。
冬季施工では、「施工よりも環境管理」が品質を守るカギとなります。
スポンサーリンク第2章 調合・保管・養生|モルタルの温度管理が品質を左右する

低温下ではモルタルの硬化が進みにくいため、配合と温度管理に特別な配慮が必要です。次のようなポイントを守ることで、施工品質を安定させることができます。
- 水セメント比を小さく調整する。
5℃以下での施工では、通常よりセメントを約20%多く配合します。これにより、低温下でも十分な強度を確保できます。 - 練り水を温めて使用する。
モルタルは冷えやすいため、60℃以下の温水を使用し、練り上がり温度が40℃以下になるよう調整します。
加温しすぎると作業時間が短くなるため、温度管理は慎重に行います。 - 材料の保管は0℃以下にならないように。
ブロックやレンガが凍結すると吸水率が変化し、接着不良やひび割れの原因になります。夜間はシートで覆うなど、凍結防止措置を行いましょう。 - 積み上げ後の養生を徹底する。
施工後は最低でも5℃以上の温度を維持しながら養生します。凍結防止用の毛布・断熱シートを用いて、硬化が安定するまで十分に保温してください。
おわりに

寒冷地での組積工事では、気温と湿度の管理が品質を決定づける要素です。低温下でも無理に作業を進めると、後にクラックや剥離といった重大な不具合を招くことがあります。冬季は「施工する前に、環境を整える」を合言葉に、保温・養生・材料管理を徹底しましょう。そのひと手間が、春になっても美しく強い壁を保つ最大の秘訣です。
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積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。