【唯一の解説記事!】自然公園法の自然環境調査(環境アセス)の解説

設計のいろは
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広大な森林のリゾート施設を作りたいです!

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自然公園法の地域種別によっては「自然環境調査」が必要だよ!

はじめに

こんにちは、一級建築士のSUPERREです。今回は「自然公園法の自然環境調査」に焦点を当て、解説をして参ります。リゾート地を開発する前に、自然公園法に基づく環境調査は不可欠です。特に、広い土地や新しい道路を建設する場合は、法的な要件が絡んできます。これをクリアすることが、環境と調和した持続可能な開発の鍵です。事前の環境調査を怠ると、後で大きな損失を被る可能性があります。持続可能な開発は、環境影響を最小限に抑え、地域社会との調和が重要です。このブログを通じて、リゾート地開発の重要なポイントをつかんで、成功への第一歩を踏み出しましょう。

自然環境調査って何?

環境調査というと、アセスというとピンとくる方が多いと思いますが、自然公園法の環境アセスは、通称「自然環境調査」と呼ばれます。自然公園法施行規則の該当部をわかりやすく表にまとめると下記が概要となります。

項目内容
申請対象特別地域、特別保護地区及び海域公園地区内で下記①または②に該当する場合
① 行為の場所が1ヘクタール以上
② 行為が2キロメートル以上の道路の新築計画で、幅員が10メートル以上である場合(※を除く)
申請書に必要な書類1  行為の場所や周辺の植生、動物相、風致・景観の状況と特質に関する図面および事項の記載
2 行為による自然的・社会経済的な効用に関する事項の記載
3 行為が風致・景観に与える影響の予測と軽減策に関する事項の記載
4 行為の代替施行方法とその風致・景観への影響を比較した結果
例外(※)道路の新築が法的許可を既に受けている場合、または確実である場合はこの規定の対象外

根拠となる関連法文を転記しています。実際の法文も必ず一読してから理解を深めて下さい。自然公園法施行規則第10条4項を指します。

(特別地域、特別保護地区及び海域公園地区内における行為の許可申請書)
第十条 法第二十条第三項、第二十一条第三項又は第二十二条第三項の規定による許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 行為の種類
三 行為の目的
四 行為の場所
五 行為地及びその付近の状況
六 行為の施行方法
七 着手及び完了の予定日
2 前項の申請書には、次の各号に掲げる図面を添えなければならない。ただし、行為の規模が大きいため、次の各号に掲げる縮尺の図面によつては適切に表示できないと認められる場合にあつては、当該行為の規模に応じて適切と認められる縮尺の図面をもつて、これらの図面に替えることができる。
一 行為の場所を明らかにした縮尺二万五千分の一程度の地形図
二 行為地及びその付近の状況を明らかにした縮尺五千分の一程度の概況図及び天然色写真
三 行為の施行方法を明らかにした縮尺千分の一程度の平面図、立面図、断面図及び意匠配色図
四 行為終了後における植栽その他修景の方法を明らかにした縮尺千分の一程度の図面
3 環境大臣又は都道府県知事は、前項各号に掲げるもののほか、法第二十条第三項、第二十一条第三項又は第二十二条第三項の許可に関し必要があると認めるときは、当該許可の申請をした者に対し、縮尺千分の一程度の構造図その他の必要な書類の提出を求めることができる。
4 申請に係る行為(道路の新築及び農林漁業のために反復継続して行われるものを除く。)の場所の面積が一ヘクタール以上である場合又は申請に係る行為がその延長が二キロメートル以上若しくはその幅員が十メートル以上となる計画になつている道路の新築(法の規定による許可を現に受け又は受けることが確実である行為が行われる場所に到達するためのものを除く。)である場合にあつては、第一項の申請書には、前項各号に掲げる図面のほか、次に掲げる事項を記載した書類を添えなければならない。
一 当該行為の場所及びその周辺の植生、動物相その他の風致又は景観の状況並びに特質
二 当該行為により得られる自然的、社会経済的な効用
三 当該行為が風致又は景観に及ぼす影響の予測及び当該影響を軽減するための措置
四 当該行為の施行方法に代替する施行方法により当該行為の目的を達成し得る場合にあつては、当該行為の施行方法及び当該方法に代替する施行方法を風致又は景観の保護の観点から比較した結果

5 環境大臣又は都道府県知事は、第一項に規定する申請書の提出があつた場合において、申請に係る行為が当該行為の場所又はその周辺の風致又は景観に著しい影響を及ぼすおそれの有無を確認する必要があると認めたときは、申請者に対し、前項各号に掲げる事項を記載した書類の提出を求めることができる。

昭和三十二年厚生省令第四十一号 自然公園法施行規則

1ヘクタールの取り方は?

対象となる計画敷地が1ヘクタールを超えるか否か。この分かれ目は、PJに対しての影響が非常に大きいです。その為、面積算定範囲の理解が非常に重要となります。

申請に係る行為(道路の新築及び農林漁業のために反復継続して行われるものを除く。)の場所の面積が一ヘクタール以上

昭和三十二年厚生省令第四十一号 自然公園法施行規則

ではその範囲の取り方は?というとズバリ任意です。

明らかに法逃れをするような恣意的な範囲の取り方は、環境省からNGが出ますが、所有界と敷地界同じにする必要は御座いません。

任意の根拠は、「自然公園法の行為の許可基準の細部解釈及び運用方法」の「敷地」を「申請に係る行為の場所」と解釈をしました。私の担当PJの環境省協議では、この論拠で承認が取れましたが、担当所管によっては異なる可能性がありますので必ず確認が必要です。

18 「敷地」(第4項第4号)
一つの建築物又は用途上不可分の関係にある2つ以上の建築物がある一区画の土地を
いう。
なお、建築物の敷地界が所有界と一致しているか否かを問わない。貸別荘群のように、
一連の土地に用途上可分な建築物を多数設けるような場合には、個々の建築物の敷地を
区画させ図面等により明定させる必要がある。

自然公園法の行為の許可基準の細部解釈及び運用方法

自然環境調査の流れは?

自然環境調査の流れは、環境省出先機関の考え方にもよりますが、結論15ヶ月以上を要します

15ヶ月の内訳とは?

第10条4項1号の法文には、植生及び動物相の状況並びに特質との記載があります。つまり四季を通してそれらの状況を把握する必要があり、12ヶ月の調査が必須となります。

一 当該行為の場所及びその周辺の植生、動物相その他の風致又は景観の状況並びに特質

昭和三十二年厚生省令第四十一号 自然公園法施行規則

そして上記に係る調査をレポート化し、下記二〜四号の内容を環境省と検討をする期間を最低3ヶ月程度と考えます。

二 当該行為により得られる自然的、社会経済的な効用
三 当該行為が風致又は景観に及ぼす影響の予測及び当該影響を軽減するための措置
四 当該行為の施行方法に代替する施行方法により当該行為の目的を達成し得る場合にあつては、当該行為の施行方法及び当該方法に代替する施行方法を風致又は景観の保護の観点から比較した結果

昭和三十二年厚生省令第四十一号 自然公園法施行規則

おわりに

自然公園法の自然環境調査について解説しました。該当する場合、完成までの時間が大幅に遅延する可能性がある為、計画当初に理解を深めておくことが必須となります。リゾート地開発においては、十分な事前検証を行い、自然と調和した計画を実現いただければと思います。

自然公園法の概要を把握しよう!

自然公園法については、下記記事にて概要説明をしています。是非理解を深めていきましょう!

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