【店舗×避難階段】複合用途の面積算定と設置条件|防火避難規定の解説

建築知識
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見習い女の子
見習い女の子

大規模な店舗を設計する際、避難階段の取り扱いについて教えてください。

建築戦士スー
建築戦士スー

避難階段設置条件や複合用途における店舗の取扱いについて、『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説しよう!

はじめに

店舗の番人が現れた!
店舗の番人が現れた!

大規模な店舗の設計において、避難階段の配置は重要な要素です。特に複合用途の建築物では、適切な避難経路を確保することが求められます。

本記事では、複合用途の店舗における避難階段の設置条件と面積算定について、わかりやすく解説します。避難階段の基本から具体的な設置要件まで、設計者が押さえておくべきポイントをしっかりカバーします。

記事のレベル
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第1章 避難階段が必要な店舗って?

避難階段に潜む魔物
避難階段に潜む魔物

避難階段の設置が必要な店舗とは?

避難階段が必要な建物とは?
避難階段が必要な建物とは?

下記条件のいずれかに該当する場合、『避難階段』を設置する必要があります。

5階建て以上の建築物
地下2階以下の建築物
3階以上の階を物品販売店舗とした建築物

建築戦士スー
建築戦士スー

つまり3階以上の階に店舗をもつ建物って事だね!

そもそも『避難階段』ってなんだっけ?免除できるんだっけ?と言う方は、下記の記事を必ずチェックしてください!

建築戦士スー
建築戦士スー

『大規模店舗における2以上の直通階段』の『1500㎡の面積の取り方』について、下記記事では解説をしているよ!面積の大きい計画の場合は、必ずチェックしてね!

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第2章 物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅について

店舗の開店に駆けつける多くの町民
店舗の開店に駆けつける多くの町民

まずは建築基準法124条を見るべし!

禁断の書物を解読する
禁断の書物を解読する

まず必ず押さえておくべき条文は、『建築基準法124条』となります。下記をご一読ください。

第百二十四条 物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物における避難階段、特別避難階段及びこれらに通ずる出入口の幅は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各階における避難階段及び特別避難階段の幅の合計は、その直上階以上の階(地階にあつては、当該階以下の階)のうち床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上とすること。
二 各階における避難階段及び特別避難階段に通ずる出入口の幅の合計は、各階ごとにその階の床面積百平方メートルにつき、地上階にあつては二十七センチメートル、地階にあつては三十六センチメートルの割合で計算した数値以上とすること。
2 前項に規定する所要幅の計算に関しては、もつぱら一若しくは二の地上階から避難階若しくは地上に通ずる避難階段及び特別避難階段又はこれらに通ずる出入口については、その幅が一・五倍あるものとみなすことができる。
3 前二項の規定の適用に関しては、屋上広場は、階とみなす。

引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)

建築戦士スー
建築戦士スー

その上で、法解釈について『防火避難規定の解説』で解説されています。本記事でも、わかりやすく説明をしていくよ!

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避難階段等の幅及び避難階段等に通ずる出入口の幅の合計の取り扱い

階段の幅ギリギリまで成長する魔物
階段の幅ギリギリまで成長する魔物

建築基準法施行令第124条第1項第一号及び第二号における階段の幅、および出入口の幅については、次のように取り扱います。

3階以上に物品販売店舗がない場合は対象外となる

城の店舗デパート
城の店舗デパート

建築基準法施行令第124条第1項に規定される避難階段等の幅および避難階段等に通じる出入口の幅の合計は、建築基準法施行令第123条に規定される避難階段または特別避難階段の構造に適合した階段によって算定いたします。そのため、建築基準法施行令第122条第2項に基づいて避難階段の設置が義務付けられている階に物品販売店舗がない場合、建築基準法施行令第124条の適用はございません

建築戦士スー
建築戦士スー

つまりまとめると、、、

3階以上に店舗がない時は、遵守する必要はない!
該当する場合は、『避難階段または特別避難階段の構造』も遵守して!

(避難階段の設置)
第百二十二条 建築物の五階以上の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で五階以上の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)又は地下二階以下の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で地下二階以下の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる直通階段は同条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、特定主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が〇・二平方メートル以下のものに設けられる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 三階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる二以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
3 前項の直通階段で、五階以上の売場に通ずるものはその一以上を、十五階以上の売場に通ずるものはその全てを次条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。
(避難階段及び特別避難階段の構造)
第百二十三条 屋内に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
二 階段室の天井(天井のない場合にあつては、屋根。第三項第四号において同じ。)及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
三 階段室には、窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
四 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室以外の当該建築物の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離に設けること。ただし、第百十二条第十六項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
五 階段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合においては、その面積は、各々一平方メートル以内とし、かつ、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものを設けること。
六 階段に通ずる出入口には、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるものを設けること。この場合において、直接手で開くことができ、かつ、自動的に閉鎖する戸又は戸の部分は、避難の方向に開くことができるものとすること。
七 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
2 屋外に設ける避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 階段は、その階段に通ずる出入口以外の開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)から二メートル以上の距離に設けること。
二 屋内から階段に通ずる出入口には、前項第六号の防火設備を設けること。
三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。
3 特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡すること。
二 屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
三 階段室、バルコニー及び付室は、第六号の開口部、第八号の窓又は第十号の出入口の部分(第百二十九条の十三の三第三項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
四 階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ること。
五 階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
六 階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々一平方メートル以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から九十センチメートル以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第百十二条第十六項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
七 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
八 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
九 バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
十 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第一項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
十一 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
十二 建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とすること。

引用:建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)

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『床面積が最大の階』の解釈について

無限に床が広がる迷宮を眺める勇者
無限に床が広がる迷宮を眺める勇者

建築基準法施行令第124条第1項第一号に規定される「床面積が最大の階」の取り扱いについてです。

例えば、複合用途の建築物を事例にして解説をします下記の場合、4階(物品販売店舗と飲食店の用途に供する部分の床面積の合計)をもって避難階段等の幅の合計の下限を算定しなければいけません。この取り扱いは、建築基準法施行令第125条第3項(屋外への出口)の適用においても同様です。

複合用途の場合の『面積が最大の階』のイメージ
複合用途の場合の『面積が最大の階』のイメージ

(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)
第百二十四条 物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物における避難階段、特別避難階段及びこれらに通ずる出入口の幅は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 各階における避難階段及び特別避難階段の幅の合計は、その直上階以上の階(地階にあつては、当該階以下の階)のうち床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上とすること。
 (中略)
(屋外への出口)
第百二十五条 避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第百二十条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の二倍以下としなければならない。
2 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない。
3 物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上としなければならない。
4 前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。

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第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!

建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
建築物の防火避難規定の解説を読む勇者のイメージ
残業ブラッキー
残業ブラッキー

建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、

本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

建築戦士スー
建築戦士スー

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。

つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。

設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!

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おわりに

店舗の知識を手に入れた!
店舗の知識を手に入れた!

店舗における避難階段の設置は、利用者の安全を確保するために欠かせない要素です。複合用途の建築物では、各用途に応じた適切な対応が求められます。本記事で紹介した内容を参考に、法規を正確に理解し、実務に役立ててください。安全で快適な店舗づくりのために、避難経路の設計をしっかりと見直しましょう。

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