
火災の発生のおそれの少ない室の事例や条件について教えてください!

事例と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

建築設計において「火災の発生のおそれの少ない室」は、防火避難規定の解釈に欠かせない重要なポイントです。しかし、その具体的な条件や適用範囲については、意外と曖昧に理解されていることも多いのではないでしょうか?
本記事では、建築基準法施行令や国土交通省の告示をもとに、「火災の発生のおそれの少ない室」の定義や分類、そして具体的な事例を解説します。

第1章 火災の発生のおそれの少ない室とは?


「火災の発生のおそれの少ない室」とは、火災が発生した際に、当該箇所の可燃物が少なく火災時の影響が小さいと考えられる室のことであり、告示1440号に基づいて定められています。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十九条第二項の規定に基づき、火災の発生のおそれの少ない室を次のように定める。
火災の発生のおそれの少ない室を定める件
建築基準法施行令第百二十九条第二項に規定する火災の発生のおそれの少ない室は、次の各号のいずれかに該当するもので、壁及び天井(天井がない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを同令第百二十八条の五第一項第二号に掲げる仕上げとしたものとする。
一 昇降機その他の建築設備の機械室、不燃性の物品を保管する室その他これらに類するもの
二 廊下、階段その他の通路、便所その他これらに類するもの引用:告示第1440号より
(特殊建築物等の内装)
第百二十八条の五 前条第一項第一号に掲げる特殊建築物は、当該各用途に供する居室(法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物が主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。第四項において同じ。)である場合にあつては、当該用途に供する特殊建築物の部分で床面積の合計百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く。)の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。第四項において同じ。)及び天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを第一号に掲げる仕上げと、当該各用途に供する居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを第二号に掲げる仕上げとしなければならない。
(中略)
二 次のイ又はロに掲げる仕上げ
イ 準不燃材料でしたもの
ロ イに掲げる仕上げに準ずるものとして国土交通大臣が定める方法により国土交通大臣が定める材料の組合せによつてしたもの

つまり『該当諸室』かつ『壁及び天井=準不燃材料』とすることで『火災の発生のおそれの少ない室』として扱うことができるということだね!
第2章 火災の発生のおそれの少ない室の分類

前章で定義と条件が確認できたところで、火災の発生のおそれが少ない室について、具体的な事例や特徴について本章では確認をしていきたいと思います。
該当部分 | 告示に示されている室 | 空間の特徴 | 類似する室の例 |
---|---|---|---|
第一号 | ① 昇降機その他の建築設備の機械室 ② 不燃性の物品を保管する室 | – 燃えるものが極めて少ない。 – 基本的に在室者がいない。 | 空調機械室、水槽室、ポンプ室 冷蔵室、冷凍室、機械式駐車場 |
第二号 | ① 廊下、階段その他の通路 ② 便所 | – 燃えるものが極めて少ない。 – 在室者が長時間継続的に利用しない。 | 玄関、エントランスホール、EVホール、階段付室、風除室、車路、エスカレーター、 浴室、化粧室、湯沸室(規模が小さく裸火を使用しないものに限る)、金庫室 |

第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

「火災の発生のおそれの少ない室」は、建築基準法や告示に基づいた厳密な条件のもとで定められています。設計の際には単に「燃えるものが少なければOK」と考えるのではなく、壁や天井の仕上げ材の条件も満たす必要があることを忘れないようにしましょう。
また、変電設備やボイラー室のように、建築設備の機械室であっても火災の危険性がある空間は、適用外となる点にも注意が必要です。今回解説したポイントを押さえて、安全な建築設計に役立ててください!
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