
面積区画において、ボーリング場・屋内プール・屋内スポーツ練習場の取り扱いを教えて下さい!

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

建築物の防火安全を確保するためには、「面積区画」の適切な設計と理解が不可欠です。とりわけ、ボーリング場や屋内プール、屋内スポーツ練習場といった特殊用途施設においては、用途上やむを得ない理由により区画を設けることが困難な場合があり、法令の解釈に注意を要します。
本記事では、建築基準法施行令第112条の規定を踏まえつつ、特に「その他これらに類する用途に供する建築物の部分」に該当する施設の取り扱いについて詳しく解説します。

第1章 面積区画において用途上やむを得ない場合について

建築基準法施行令第112条第1項第一号に掲げられている用途の建築物については、その用途上やむを得ず区画できない部分がある場合でも、建築物全体のすべてが区画免除となるわけではありません。
例えば、用途上やむを得ない事例としては、劇場の客席部分や、工場における生産ラインのように、連続した大空間が必要となるケースが挙げられます。こうした場合に限り、「用途上やむを得ない」と認められます。これに該当しない場合は、たとえ建築基準法施行令第112条第1項第一号に掲げられた用途であっても、区画が必要になります。
(防火区画)
第百十二条 法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ないものについては、この限りでない。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途に供する建築物の部分
二 階段室の部分等(階段室の部分又は昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)をいう。第十四項において同じ。)で一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたもの(省略)

また、「その他これらに類する用途に供する建築物の部分」としては、工場などと同様に、大空間の利用や連続した機械設備のために区画が困難な構造を持つ以下のような用途が考えられます。
ただし、これらに併設された飲食店などの用途に供する部分については、用途上やむを得ない場合には該当しませんので、区画が必要です。

なお、建築基準法施行令第112条第1項ただし書は、「区画を設けることによりその目的が達成できない構造」に限り、緩和を認めるものです。したがって、建築物全体に一律で緩和が適用されるものではありません。
また、「その他これらに類する用途に供する建築物の部分」に掲げられている不燃性の物品を保管する立体的な倉庫とは、人やフォークリフトを用いて入出荷などの作業を行う多層式の倉庫を想定しており、ラック式倉庫(いわゆる立体自動倉庫)は対象外とされています。
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建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

ボーリング場や屋内スポーツ施設といった建築物における防火区画の取り扱いは、一見して曖昧に見えることもありますが、「用途上やむを得ない構造」であるかどうかが判断の要となります。本記事で解説したように、建築基準法施行令第112条第1項ただし書の適用は限定的であり、緩和が許容されるのはその構造上、明確な理由がある場合に限られます。
また、設計者にとって非常に重要な判断資料である『建築物の防火避難規定の解説』は、法令や通達に記載のない具体的な運用方針が示されているため、実務において欠かせない一冊です。防火設計の精度を高めるためにも、ぜひ本書を活用し、知識の深化を図っていただければ幸いです。
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