避難階段の設置免除の条件について教えてください!
建築基準法施行令第122条の但し書きについて詳しく解説しよう!
『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説しよう!
はじめに
避難階段や特別避難階段の設置は、建築物の安全性を左右する重要なポイントです。しかし、建築基準法施行令第122条の但し書きにより、一定の条件を満たす場合には設置が免除されるケースもあります。
本記事では、建築設計の実務に役立つ具体的な免除条件や注意点を、わかりやすく解説します。「設置免除の条件がよくわからない」という設計者や学習中の方にとって、疑問を解決する一助となれば幸いです。
スポンサーリンク第1章 避難階段って?
『避難階段』には、大きく3種類あるって知ってる?
少しでも不安がある方は、下記記事『避難階段』を確認ください!
第2章 避難階段および特別避難階段の設置免除について
建築基準法施行令第122条第1項では、建物の階数に応じて避難階段または特別避難階段を設けることが求められています。しかし、以下の<免除①>または<免除②>に該当する場合は、ただし書きの適用によって設置が免除されます。ただし、特別避難階段を免除する場合でも、避難階段を設けることが望ましいです。
<免除①>主要構造部が耐火構造等の場合
- 建物が耐火構造等で、5階以上または地下2階以下の階の合計床面積が100㎡以下である場合は設置が免除されます。この場合、塔屋部分も床面積に含まれます。
<免除②>小面積ごとに区画された建築物の場合
- 主要構造部が耐火構造の建物であり、100㎡以内(共同住宅の場合は住戸ごとに200㎡以内)ごとに耐火構造の壁などで区画されている場合です。
この場合、区画対象部分には以下の場所が含まれません。(但し耐火構造の壁等で区画されていること)
- 階段室
- 昇降機の昇降路(乗降ロビーを含む)
- 廊下などの避難施設部分
共同住宅で緩和される条件
共同住宅の場合、以下のような条件を満たす場合に設置基準が緩和されることがあります。
階段室型共同住宅の場合
- 各住戸の面積が200㎡以下
- 階段室が直接外気に開放されている
- 階段室に面して設けられているのが、特定防火設備の出入口の戸や、0.2㎡以下の換気用窓(両面20分の防火設備)のみである
開放片廊下型共同住宅の場合
- 各住戸の面積が200㎡以下
- 廊下が外気に十分開放され、排煙に支障がない
- 廊下に面した部分に、噴出火炎に対する避難上の安全を確保した両面20分の防火設備が設けられている
建築基準法を確認しよう!
建築基準法の但し書き部分を見てみよう!
スポンサーリンク(二以上の直通階段を設ける場合)
第百二十一条 建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
(中略)
六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
(省略)(避難階段の設置)
第百二十二条 建築物の五階以上の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で五階以上の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)又は地下二階以下の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で地下二階以下の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる直通階段は同条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、特定主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が〇・二平方メートル以下のものに設けられる法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 三階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる二以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
3 前項の直通階段で、五階以上の売場に通ずるものはその一以上を、十五階以上の売場に通ずるものはその全てを次条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
避難階段や特別避難階段の免除条件について、理解を深めていただけたでしょうか?建築基準法施行令第122条の但し書きは、建物の特性や用途に応じた柔軟な運用が可能な一方、設計ミスを防ぐために正確な知識が求められます。設計者として、法令を正しく理解し、最適な設計を行うことが重要です。本記事を参考に、日々の設計業務やスキルアップに役立ててください。
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