『工場や工場内部の事務室』が排煙設備免除って本当ですか?
建築基準法施行令第126条の2一項四号の但し書きだね!
『建築基準法』と『建築物の防火避難規定の解説』を基にわかりやすく解説します!
はじめに
排煙設備に関する規定は、建築基準法の中でも特に複雑で、多くの設計者が頭を悩ませるポイントです。
本記事では、「機械製作工場」における排煙設備の免除規定や細部解釈についての解説です。この免除が適用される条件や工場内の事務室や倉庫への影響など、具体的な内容を見ていきましょう。建築基準法施行令第126条の2を基に、分かりやすく解説しますので、設計に携わる方はぜひ参考にしてください。
スポンサーリンク第1章 排煙設備が必要な場合って?
排煙設備の必要与件は、建築基準法施行令第百二十六条の二で規定されています。実際に法文を確認してみましょう。
次章で解説する『機械製作工場〜』については、但し書きの四号で記載があるよ!一読しておこう!
第三節 排煙設備
(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十九項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該床若しくは壁又は防火設備により分離された部分
二 建築物の二以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
複合用途や無窓居室の場合など、本法令の細部解釈はご存知でしょうか?
下記記事にて解説をしていますので、ぜひご確認ください!
第2章 ただし書第四号「機械製作工場〜」の取り扱いについて
建築基準法施行令第126条の2第1項ただし書第四号における「機械製作工場〜」の扱いに関してです。
①「機械製作工場等」の意味について
「機械製作工場等」には、不燃性の物品を加工する工場も含まれるとしています。この場合、「機械を」製作する工場を指し、「機械で」製作する工場を意味するものではありません。
②工場内の事務室や倉庫について
機械製作工場等の中に事務所や倉庫などの部分がある場合でも、主な用途が機械製作工場等であれば、このただし書第四号を適用することが可能です。ただし、工場部分については排煙設備の設置が不要である一方で、他の用途部分には排煙設備の設置が必要となります。
スポンサーリンク③「その他これらに類する用途に供する建築物」について
「その他これらに類する用途に供する建築物」としては、生鮮食料品の卸売市場などが該当します。ただし、これに付属する事務所や車庫などの部分は該当しません。
④ 無人駐車施設について
機械式駐車場や立体駐車場などの無人の駐車施設が単独で設置される場合には、このただし書第四号に該当します。
建築基準法施行令第126条の2第1項第四号で示される機械製作工場等は、火災の発生の可能性が低く、仮に出火した場合でも火災が拡大せず、避難や初期消火に支障をきたさないことが前提となっています。そのため、機械製作工場に設置または保管される機械材料などは、ほとんどが不燃材料で作られているか、不燃材料で覆われていることが求められます。
但し書き二号『学校等』や三号『階段』の解釈についても下記記事にて解説をしています!
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!
建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?
そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに
排煙設備の免除規定を正しく理解することで、安全性を確保しつつ効率的な設計が可能となります。特に、機械製作工場における適用条件や関連施設への影響を把握することは、設計の質を高めるために欠かせません。今回の解説が、皆さんの設計業務に役立つことを願っています。引き続き、防火避難規定に関する情報をアップデートし、最適な設計を目指しましょう。
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