お手軽にサウナを導入したいな!
何かいい案はないかな?
軽量かつ本格的なバレルサウナがおすすめかな!
設計上の実際の注意点を教えてあげよう!
はじめに
最近、サウナの人気が急上昇しており、その中でも「バレルサウナ」は設置の手軽さと独特のデザインで多くの人々に選ばれています。しかし、バレルサウナの導入には、デザイン性だけでなく、建築基準法や電気設備の認証などの法的要件をクリアする必要があります。加えて、設置時に予期せぬトラブルが発生することもあります。本記事では、一級建築士の視点から、バレルサウナの導入を検討する際に知っておきたい基本的な情報に加え、実際に起こり得るトラブル事例とその対策方法についても詳しく解説します。
スポンサーリンク第1章 バレルサウナとは?
バレルサウナは、フィンランド発祥となるサウナの形式です。大きな特徴として、外観が樽のカタチに似ていることからBarrel Saunaと呼ばれています。
外装兼内装には、多くの木材が使用されており、コンパクトでありながら本格的なサウナ体験ができます。コストも通常の在来工法のサウナに比べて安く抑えられる為、事業者や一般家庭からも支持されています。
スポンサーリンク第2章 バレルサウナは『建築物』なの?
バレルサウナは、フィンランドからそのままの姿とカタチで普及されています。フィンランドでの『バレルサウナ』の実態は、庭先に倉庫を置くような感覚で扱われています。その為、当然建築物相当の外皮性能を持ち合わせていません。
当然、日本においても建築物としての性能を担保しようとすると、メリットである低コストの実現からは遠ざかってしまいます。(例えば、防火地域等の規制など)できないことはないですが、一般的なバレルサウナの既製品は建築物としての性能は持ち合わせていません。その為、建築物として計画をしたい場合は、バレルサウナの採用は難しいです。
参考>>建築基準法『建築物』とは?
スポンサーリンク(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
第3章 実際の現場で起きた2つのトラブル事例
①PSE認証に関するトラブル<電気熱源の場合>
PSE認証とは?
・PSEマークとは、電気用品を製造・輸入する事業者が、電気用品安全法に定められる検査等
の義務を果たし、安全が確保された製品に、事業者自ら表示するマークです。
・PSEマークには、ひし形(◇PSE)と丸形(○PSE)の二種類があります。
・電気用品安全法の規制対象となる電気用品は、このPSEマークと電気用品ごとに定められ
た表示を付されたものでなければ、販売および販売目的のための陳列を行うことはできませ
ん。
簡単にいうと、PSEマークは「電気用品安全法」の適合を示します。
日本で指定の電気用品を売るときは、このマークが必須なんだ!
サウナで火事になったら怖いよね!安全第一だ!
ところで、菱形と丸型があるけど何が違うの?
丸型マークは、電気安全法指定の「電気用品」で457品目を指すよ。
さらに安全上規制が必要なもの116品目を菱形にしていて「特定電気用品」と言うよ。
サウナは「特定電気用品(116品目)」に該当!
電気サウナは、主に「特定電気用品」として指定を受けており、上記画像の『91電気サウナバス』と『92サウナバス用電熱器』に該当します。安全確保の為に、厳重な規制がかけられています。
<実体験>PSE認証を行政から求められる場合がある!
私の実体験のお話をさせて頂きます。
栃木県の市町村でバレルサウナ(電気熱源式)を採用しようと、計画を進めておりました。ある日、消防協議を行なった際の出来事です。
電気サウナを計画される際は、
『PSEマーク』を取得していないと認められません。
<現場での注意事項>
特に価格の安い海外製品は、PSEマークの取得がないものが多いです。
人命に直接関わる為、注意が必要です。会社のコンプライアンス上も非常に悪い結果を招きます。
②『サウナ設備設置基準』はトラブル防止の必読書!
「サウナ設備設置基準」をご存知でしょうか?赤字記載の通り、消防法や火災予防条例等の他に火災発生防止の観点より定められた日本サウナ・スパ協会の自主基準です。
各消防機関も認知する規定であり、消防協議において「サウナ設備設置基準」は外せません。
電気サウナ設備の適用範囲は、下記とされています。
電気サウナ設備1台の最大消費電力が 30kW 以下が、基準の対象となる為、ご自身の計画の設備機器情報を注意深く確認しましょう。
IECとは?
国際電気規格(IEC:International Electrotechnical Commission)について
1.国際電気規格とは、国際的に電気について拠るべき規則を定めたもの。
1 IEC60335-2-53 はサウナ用加熱器に関する個別要求事項であり、パート1 (IEC60335-1)と併用される。IEC60335-2-53は、1988年に制定されたもの(第 1 版)が1997年に改訂(第2版)され、現在、国際的にサウナ用加熱器の認証スキ ームに活用されている。なお、現在、最も新しい規格は2002年に発行された第3 版であるが、これは併用されるパート1の版と異なり、まだ認証のスキームには活 用されていない。 個別規格としての第3版の内容は、第2版からの大きな変更はな い。
2よって、今回は 1988 年版を基に、p10 に加熱異常試験の概要を示した。 2.準拠とは 1IECの適用範囲は、定格入力が20kW以下のサウナ用加熱器である。本設置基準は 30kWまでであり、20kWを超えるものおよび図1、2に規定する離隔距離等また
は仕上げによらないもの、対流・遠赤外線放射併用型装置およびその他の放熱器
については国際電気規格に準拠した試験によること。 2現場設置の温度試験(加熱試験、異常試験)は定格電圧で行う。
参考原文
スポンサーリンクおわりに
バレルサウナは、その手軽さとデザイン性から人気を集めていますが、設置に際しては建築基準法や電気設備の認証など、クリアすべき法的要件があります。これらを無視すると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。ご紹介した実際に起こり得るトラブル事例を参考に、適切な対策を講じることで安全なサウナライフを計画しましょう。