
内装制限が適用される共同住宅において、管理人室や集会室は内装制限の対象になりますか?

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

建築設計において「内装制限」は避けて通れない重要なルールです。特に共同住宅の管理人室や集会室などは、内装制限の対象になるのか疑問に思うことも多いでしょう。
この記事では、「100㎡区画」や「200㎡区画」による内装制限の免除条件を、建築基準法の解釈に基づいて解説します。設計者として知っておくべきポイントを押さえながら、具体的な適用範囲を整理していきましょう。

第1章 内装制限って?


内装制限とは、火災時の被害拡大を防ぐため、壁や天井に不燃性の高い材料を使用することを義務付ける規制です。

内装制限をかけることで、火災の急激な拡大を防ぐことができます。これにより煙の発生を抑制させ、結果として安全な避難経路を確保することが可能です。
内装制限の対象となる建築物って?

具体的な条件や免除規定については、下記記事にて解説をしています。不安のある方は、一読の上本記事をお読みください。
第2章 共同住宅の集会室等および複合用途建築物内の住戸部分の内装制限について


耐火建築物または法第2条第九号の三イに該当する準耐火建築物(イ準耐)に分類される共同住宅において、集会室や管理人室などの居室部分は、耐火構造または準耐火構造の床・壁、防火設備で100㎡以内ごとに区画されていれば、内装制限の対象外となります。

準耐火建築物については、下記で解説をしています。特にイ準耐やロ準耐の理解は、設計者として深めておきたいところです。

また、複合用途建築物の住戸部分についても、共同住宅の住戸と同様に、高さ31m以下の部分で200㎡以内ごとに防火区画を設けることで、内装制限の適用を受けないものと扱われます。

なお、建築基準法施行令第128条の5第1項では、共同住宅の住戸部分は200㎡以内ごとに防火区画すれば内装制限が免除されると規定されていますが、共同住宅内の住戸以外の居室には特段の規定はありません。ただし、共同住宅の一部であることを踏まえ、法別表第1(イ)欄(2)項に該当する特殊建築物の部分として、100㎡以内ごとの防火区画を設けることで内装制限を緩和できるものとしています。
スポンサーリンク(特殊建築物等の内装)
第百二十八条の五 前条第一項第一号に掲げる特殊建築物は、当該各用途に供する居室(法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物が主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。第四項において同じ。)である場合にあつては、当該用途に供する特殊建築物の部分で床面積の合計百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分の居室を除く。)の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。第四項において同じ。)及び天井(天井のない場合においては、屋根。以下この条において同じ。)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを第一号に掲げる仕上げと、当該各用途に供する居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを第二号に掲げる仕上げとしなければならない。
第3章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

「100㎡区画」や「200㎡区画」を活用することで、内装制限の適用を免れるケースがあることが分かりましたね。共同住宅の管理人室・集会室、さらには複合用途建築物の住戸部分について、適切に防火区画を設定することで、より柔軟な内装設計が可能になります。
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