
店舗等を兼ねた3階建て住宅における竪穴区画の取扱いを教えて下さい!

解釈と条件について、『建築物の防火避難規定の解説』をもとに解説します!
はじめに

店舗を併設した3階建て住宅における防火設計は、建築基準法のみならず、個別の解釈を要する条文や告示が複雑に絡み合う分野です。なかでも「竪穴区画」の取り扱いについては、設計者にとって判断が難しく、設計の初期段階から明確な方針を立てておく必要があります。
本記事では、「建築物の防火避難規定の解説」に基づき、延べ面積200㎡を超える3階建て住宅で住戸と店舗を併用する場合の竪穴区画に関する取扱いについて、根拠条文や具体的な条件を整理しながら解説いたします。

第1章 店舗等を兼ねた3階建て住宅における竪穴区画の取扱いについて

店舗等を兼用する3階建ての住宅(主要構造部が耐火構造または準耐火構造である建築物、あるいは延焼防止建築物または準延焼防止建築物に限ります)で、延べ面積が200㎡を超え、かつ、住戸部分の床面積が200㎡以下である場合には、住戸部分と店舗等の部分との間を防火区画(耐火構造または準耐火構造の床または壁、あるいは常時閉鎖式・煙感知器連動等の特定防火設備、または両面20分の防火設備による区画)とすることで、住戸内にある階段などの竪穴部分を防火区画しなくても支障はないと考えられます。

また、階数が3以下の一戸建て住宅で延べ面積が200㎡以下の建築物については、建築基準法施行令第112条第11項第二号により、当該条項による竪穴区画が免除されます。
上記の条件に該当する例図のような場合には、住戸部分(200㎡以下)とそれ以外の部分(店舗等)を防火区画すれば、住戸内の竪穴区画を設けなくても差し支えないとされています。
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(防火区画)
第百十二条 法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ないものについては、この限りでない。(中略)
11 主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するものの竪たて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第十三項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪たて穴部分については、この限りでない。
一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたもの
二 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分
第2章 「建築物の防火避難規定の解説」を手に入れよう!


建築基準法や国土交通省の告示や通達を見ても、
本記事に関する情報は、載ってニャイよね?

そうなんだよ。『建築物の防火避難規定の解説』にしか載っていないんだ。
つまりこれがないと、設計が行き詰まってしまう場合があるんだ。
設計者は必ず購入すべき本です!少し高いけど、ずっと使えるから持っておくべきだよ!
おわりに

竪穴区画に関する設計判断は、単に建築基準法の条文を読むだけでは不十分であり、「建築物の防火避難規定の解説」のような専門的な補足資料が必要不可欠です。特に、店舗併用住宅のように用途が複合する建築物では、竪穴区画の考え方が誤っていると、法的な指摘や再設計のリスクにつながることもあります。
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