
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上の空気調和設備工事の留意点」について教えて下さい!

地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地での空気調和設備工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

冬季の空気調和設備工事では、凍結や結露、雪害によって機器や配管の性能が低下し、重大なトラブルを招くことがあります。特に、外気温が低下する現場では「断熱・防露・防雪」の3つを徹底しなければ、設備全体の機能を維持できません。
本記事では、空調設備における代表的な6つのカテゴリーごとに、冬季施工で注意すべき原因と対策をわかりやすく整理して解説します。

第1章 断熱材廻り|結露・低温障害を防ぐ基本

主な原因:結露・低温障害
配管や機器の断熱材は、低温環境下での結露や損傷がトラブルの原因になります。断熱材を破損したまま放置すると、内部で結露が発生し、断熱性能の低下や腐食を招く恐れがあります。
施工時は、配管や器具の取り付けで断熱材を傷めないよう慎重に作業することが大切です。もし損傷した場合は、現場発泡ウレタンなどを使って確実に補修し、断熱の連続性を保ちます。
スポンサーリンク第2章 FF式暖房機|雪害による給排気障害を防ぐ

主な原因:雪害
寒冷地では、積雪による給排気トップの埋没が暖房機のトラブルを招きます。そのため、設置時には地域の垂直積雪量を考慮して高さを設定する必要があります。
また、給排気筒を屋外で立ち上げると凍結や雪の影響を受けやすいため、室内側で立ち上げる構造とし、安全性と安定稼働を確保します。
スポンサーリンク第3章 空気調和機|結露・凍結防止の総合設計

主な原因:凍結・結露
空気調和機では、外気と室内空気の温度差によりコイルやダクト内に結露・凍結が生じる危険があります。そのため、外気チャンバーとダクトには防露措置を施し、排気側もMDやCDまで防露処理を行います。
また、コイル内部に水が残ると凍結破損の原因になるため、完全排水型のコイル形状を採用します。不凍液を使用する場合は、機器への影響を確認し、必要に応じて能力補正を行うことも重要です。
さらに、ファン連動のモーターダンパー(MD)を設置し、運転停止時に外気を遮断。運転開始時には、コイルに温水を循環させる予熱運転やウォーミングアップ制御を実施して、凍結を未然に防ぎます。
低温環境では、空調機内や屋外配管に凍結防止ヒーターを設置することも有効です。
スポンサーリンク第4章 ヒートポンプ・空冷パッケージ・冷却塔|低温環境下の安定運転対策

主な原因:雪害・凍害・低温障害
屋外設置の機器では、凍結深度や落雪の影響を考慮した設置計画が不可欠です。機器基礎は凍結深度以下に設置し、落雪による配管破損を防ぐために雪が落ちない位置に配置します。
また、気温が低下するとヒートポンプや冷却塔が運転不良を起こす場合があるため、運転条件の明確化と配管の凍結防止措置(断熱・ヒーターなど)を講じることが求められます。
スポンサーリンク第5章 換気|低温外気の影響を抑える

主な原因:低温障害
冬季に外気を直接取り込むと、室内が急激に冷やされ、暖房負荷が増大します。このため、寒冷地や冬季施工時には、熱交換型の換気システムを導入することで、室内温度の安定と省エネ効果を両立できます。
外気の冷気を室内にそのまま取り込まない仕組みを設計段階で検討することが重要です。
スポンサーリンク第6章 給気口・排気口|防雪・防風・排水設計を徹底

主な原因:雪害
給気口や排気口は、雪の吹き込みによって機器やダクト内部が湿気を帯びることがあります。そのため、外部には防雪フードや防風板を設置し、雪の侵入を物理的に防ぎます。
さらに、万が一雪や水が入り込んだ場合でも、ダクトやチャンバーに水勾配を設けて排水できるようにしておくことが重要です。外気遮断のための制御方法も確立し、機器内部の凍結や腐食を防止します。
スポンサーリンクおわりに

冬季の空気調和設備工事では、結露・凍結・雪害という3大リスクにどう対処するかが品質を左右します。
どの工程でも共通して重要なのは、
- 断熱・防露の連続性を保つこと
- 機器や配管の配置を雪害リスクから守ること
- 運転条件と制御システムを明確に設計すること
これらを徹底することで、寒冷環境下でも安定した空調性能を維持し、長期的に信頼性の高い設備運用を実現できます。
スポンサーリンク寒冷地での計画に関してのおすすめ書籍

積雪時の設計で参考になる書籍としては、下記を推奨します。非常に細部までまとめられていますので、寒冷地での計画に関わる人の必携本です。

