
見習い女の子
「寒冷地や積雪が多い地域での監理上の内装工事の留意点」について教えて下さい!

建築戦士スー
地域毎の特性を把握して計画に落とし込むことが重要だよね!
『寒冷地での内装工事の留意事項について』を解説しよう!
はじめに

冬季の内装工事では、低温・高湿度・乾燥不良などが原因で、接着不良や仕上げ材の剥離などのトラブルが多発します。特に寒冷地では、凍害や低温障害、結露といった現象が仕上げの品質に直結します。
本記事では、内装仕上げの主要工種ごとに、実務で押さえておきたい「主な原因」と「対応策」を整理しました。冬季施工を予定している設計者・現場監督の方は、ぜひ事前の計画段階で参考にしてください。

第1章 下地の乾燥|凍害・低温障害を防ぐ基本管理

| 主な原因 | 凍害・低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 冬季施工のコンクリートは28日以上、モルタルは21日以上乾燥させる。 – 乾燥を促すため、工事の数日前から採暖を実施。 – 下地表面の含水率10%以下を目安とする。 – 鉄面は吸着水分が残るため、採暖後に乾燥確認を行う。 – 乾燥不足は接着不良を招くため、施工前に入念な含水チェックを実施。 |
第2章 材料選定|低温対応品を使用する

| 主な原因 | 低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 使用条件(温度・期間)が現場環境に合致する材料を選定する。 |
第3章 塩ビ系張床|施工環境温度の確保が重要

| 主な原因 | 低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 低温で硬直化・接着不良を起こすため、施工中および施工後は室温5℃以上を維持。 – ビニル床シートは施工前に暖かい場所で仮敷きし、巻き癖を取っておく。 |
第4章 塗床|温湿度を徹底管理する

| 主な原因 | 低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 室温5℃以下、湿度85%以上のときは採暖・換気を行う。 – 規定量以上の溶剤を絶対に添加しない。 – 低温時は環境改善によって作業性を確保する。 |
第5章 床暖房上の仕上げ|通気性と乾燥が決め手

| 主な原因 | 低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 通気性のよい仕上げ材を選ぶ。 – ビニール系など通気性の悪い材料を使う場合は、施工前に床暖房を2週間以上運転し、下地コンクリートの含水率5%以下に。 – 耐水性・耐熱性に優れ、弾性のある接着剤を使用する。 – 押えコンクリートのひび割れ防止にも配慮する。 |
第6章 GL工法|低温・結露による接着不良を防ぐ

| 主な原因 | 結露・低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 室温5℃以下での施工は避け、必要に応じて保温養生・採暖を実施。 – 発泡ウレタン上にGL施工する場合は、プライマー塗布を行う。 – 結露によるボード湿りを防ぐため、通気・除湿を確保する。 |
第7章 断熱・防露施工|現場発泡ウレタンの注意点

| 主な原因 | 結露・低温障害 |
|---|---|
| 対応策 | – 内部結露の恐れがある場合、現場発泡ウレタンまたは断熱保温板の打込みを採用。 – 吹付けはコンクリート温度が2℃以下のときは行わない。 – 吹付け面を採暖・乾燥してから施工。 – ウレタンボンベは15℃以上を維持。 – 火気厳禁、温風ダクト暖房機を使用。 – テスト吹きで混合比・圧力を確認し、厚みも測定。 – 軸組内への注入工法は禁止。 |
第8章 その他の留意点|加温機使用時の湿気対策

| 主な原因 | 結露 |
|---|---|
| 対応策 | – ジェットヒーターなどの燃焼系暖房は水蒸気を発生させるため、換気・除湿を併用する。 |
おわりに

冬季の内装工事は、「温度」「湿度」「乾燥」の3つのバランスが品質を左右します。どれか一つでも欠けると、接着不良・剥離・結露などのトラブルにつながりかねません。設計段階での材料選定、施工段階での温湿度管理、そして現場の一体的な意識共有が重要です。寒冷期でも安定した品質を確保するために、「採暖」「換気」「乾燥チェック」を習慣化しましょう。
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