一級建築士が初心者へ解説!「建築・不動産企画」の意味と概要 知識よりも情熱が大切?!

不動産知識
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新入社員
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「建築・不動産企画」って聞くけど、実際はどんなことを指すんですか?

設計士
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決まった定義はないよ!一級建築士がわかりやすく解説するね!

はじめに

「建築・不動産企画」と言う言葉ですが、あまり聞き馴染みが無いかもしれません。
デベロッパーや設計事務所の皆様も、なんとなくで理解している人も多いはずです。
本記事は、一級建築士が、初心者に向けて分かりやすく「建築・不動産企画」を解説をします。

「建築・不動産企画」とは?

「建築・不動産企画」は、様々な場面で使われていますが、明確な定義が必ずしも存在しません。
一般的には、「建築・不動産を活用して事業を実現し、顧客のニーズを満たすための計画」と理解しておけば良いでしょう。

一般的に「企画」と聞くと、アイデアの段階を思い浮かべるかもしれませんし、設計の前段階と捉えることもあり得ると思います。実際の建築・不動産企画は、具体的で詳細な事業の実現性検討や事業体制の構築、そして顧客の要望を具現化するプロセスを含みます。

建築・不動産企画は、何をするの?

建築・不動産企画には、顧客の要求の把握から始まり、市場や立地の分析、敷地の調査、用途の決定、コスト計画、空間計画など、多岐にわたる業務があります。

ここでは、主な業務内容について解説をしていきます。

顧客の把握

顧客が何を求めているか?ここを実現する為の企画になる為、5W1Hにしてすべての要求を言語化し、全体計画を構築する必要があります。技術的な側面と営業的な側面でお客様に寄り添うことが重要となります。

収支計画

概算レベルでのコスト検証から、詳細レベルでの収支計画まで、場面によって収支計画の粒度が変わります。概算レベルであれば、敷地取得費・建築(坪単価)・開発造成(坪単価)・ランドスケープ(坪単価)・FFE・温泉(計画があれば)・開業準備・運用程度の大項目で試算をしていきます。詳細レベルですと、挙げるとキリがありませんのでここでは割愛をいたします。(運営でいうと常駐スタッフの人件費やリネンクリーニングや清掃代行費など数百項目に及ぶ積み上げから金額を算出します。)

市場分析及び立地分析

市場及び立地に関する分析です。デモグラフィックやサイコグラフィックを元に現状取れるデータの範囲内で仮説を立て、ロジックを持って分析をしていきます。外部調査機関に依頼をして、エリア分析をする場合もございます。

敷地及び法令調査

敷地及び法令調査は、設計事務所に依頼することが多いです。
敷地によっては、様々な法規が複雑に絡み合います。例えばリゾートエリアでの敷地では、自然公園法や森林法や都市計画法(開発許可等)や砂防三法や建築基準法など法令制限が多岐に渡ることが多いです。広大な敷地のはずが少ししか建てられなかったり、道路から20m離して建築をしなければならなかったりと、事業的に成立しないような土地も多くございます。
また、法定外公共物の有無や境界確定に関する情報など、事業上のリスクになり得る項目の洗い出しを行います。ここで注意したいのが、不動産会社を信用しないことです。誤情報が非常に多いです。

用途選定/事業設定

様々な分析を経て、用途を選定し事業計画を立案します。既存物件を購入して用途変更をかけるパターンや、新築や、増築など考え方を纏めてから、事業計画を策定します。

設計監理/運営支援

設計事務所に要望を伝え、設計を進めます。現場段階においても、設計図通り進んでいるかの技術的な確認「監理」を設計事務所に行ってもらい、質の担保をします。開業に向けては、運営会社にもよりますが一定の支援を行い、遅延なく安全な開業支援を行います。

空間計画及びコンセプト企画

どのような空間価値体験を提供していきたいか?コンセプトに基づいて、諸室や敷地全体をコーディネートしていく必要があります。インテリア事務所や設計事務所にて計画を頂く項目となります。

大切なのは「情熱」と「興味関心」!!!

建築・不動産企画を行う際には、幅広い知識とスキルの習得と同時に、多岐にわたる関係者との協力が求められます。しかし、何よりも重要なのは、「情熱」と「興味関心」です。
建築・不動産企画は、アイデアを形にし、人々を動かす仕事です。たとえば、どんなに知識とスキルが豊富でも、情熱がなければ向いていないし、人々への興味がなければ成功することは難しいでしょう。なぜなら、これは無から有を生み出すプロセスであり、人々を説得し、行動に移す仕事だからです。

とはいえ基本的には、すべての登場人物と連携を行うポジションです。その為、幅広い分野での「知識」と「知識」が求められます。

例えば、建築の設計や施工、積算はもちろんのこと、インテリアやランドスケープ、都市計画といった関連分野、更にはマーケティング、ビジネス経営、法律、税務、経済学、会計学、社会学など、広範な知識が必要です。また、分析力、創造力、洞察力、説得力といった様々なスキルも不可欠です(図表2参照)。
しかしこれらは、実務の中で実際に磨かれるもの。一人だけの知識やスキルでは限界があるため、多くの人々と協力し合うことが重要です。

おわりに

「建築・不動産企画」は、顧客のニーズを満たすために建築や不動産を活用した事業計画を立案する重要なプロセスです。この記事では、その概要と主な業務内容について詳しく解説しました。

建築・不動産企画は、顧客の要求を把握し、収支計画や市場分析、立地分析、法令調査、用途選定、設計監理、空間計画など多岐にわたるステップを含みます。
幅広い知識とスキルが求められる一方で、情熱と興味関心も欠かせません。これは、アイデアを形にし、人々を動かすプロセスであり、成功には人々への説得力や協力が不可欠です。

建築・不動産企画を行う際には、建築の設計や施工、インテリア、マーケティング、法律、経済学など幅広い分野での知識とスキルが必要です。また、分析力や創造力、洞察力、説得力なども重要な要素となります。

最終的には、多くの関係者と連携しながら、顧客の要望を実現するための総合的な計画を策定することが求められます。建築・不動産企画の成功には、専門知識と協力体制の構築に加えて、情熱と興味関心が欠かせないことを忘れずに、計画を進めていくことが重要です。

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図面仕様は一切変更なく纏めていますので、設計参考資料としてそのままご利用頂けます。
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